本屋大賞受賞者、百田尚樹氏の新刊です。氏による、日本人の日本人による日本人のためへ魂をこめた寓話、というか現代版の風刺小説です。著者自らが「私の最高傑作」と断言。アマガエルを日本人に比喩して、その大衆社会の本質を衝いた寓話的警世の書とのふれこみです。

<海賊とよばれた男は、コチラ>
<永遠のゼロは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/30321342.html 
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あらすじは、安住の地を求めて旅に出たアマガエルのソクラテスとロベルトは、豊かで平和な国「ナパージュ」に辿り着く。そこでは心優しいツチガエルたちが、奇妙な戒律を守って暮らしていた。だがある日、平穏な国を揺るがす大事件が起こって、国が滅びる、というもの。

あくまでも寓話のスタイルをとっていますが、前半部分はあきらかに現在の日本を風刺していて、後半はあって欲しくない未来の日本の姿、恐ろしい結末の可能性を示唆しています。登場人物や事柄が、日本、アメリカ、中国、韓国、自衛隊、憲法、憲法学者、集団的自衛権、デモ集会、国会決議、尖閣諸島、マスメディア、歴史の捏造、小さな正論の絶叫、少子化等が、そのまま出てきます。

それにしても、余りにダイレクトな言い換えでした。
・デイブレイク=一日の始まり
・スチームボート=黒船
・ハンドレッド=百・・・
・ナパージュ=NAPAJ
・フラワーズ=お花畑
 
氏の主張をひとことでいえば、政治や周辺国の動きに無関心で、平和平和と言っていれば戦争にならないと思っている、お花畑の人に警鐘をならして、「憲法守って、国滅ぶ」ことがあるよということ。Dreamersを追求するかRealistに徹するかという選択といってよいかもしれません。海賊とよばれた男や永遠のゼロは、よく練られた小説作品でしたが、こちらは百田氏が感じている切迫感、国を思う気持ちがほとばしり、一般の人達に物語形式で、噛んで含めて広めるために上梓したものなのでしょう。