産業戦士の像とは、昭和19年前後に、戦意高揚のため、美術家や美術学生らによって製作された像です。当時は戦時中で、政府が全国の主要炭鉱会社を軍事産業会社として指定し、石炭を掘る採炭夫の人々は、戦場で戦う兵士と同格、すなわち、産業戦士というわけです。そんな現場の志気を高めるために「産業戦士の像」は造られたのだそうです。

このような産業戦士の像 全国に9体現存しており、そのうち2体がいわき市の好間地区と、いわき市石炭・化石館に設置、保存されています。その解説が、常磐炭田史研究会の野木氏より行われました。野木氏は、当時の常磐炭鉱に新卒で入社した最後の世代です。入社当時は、新人研修と称して、炭鉱坑道に連れて行かれたそうです。

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こちらは、現在、いわき市石炭・化石館に設置されている産業戦士の像。セメント彫塑の産業戦士のタイトルは「総蹶起」。制作者は、中川為延・林是・野々村一男・中野四郎・清水多嘉示・古賀忠雄(敬称略)5名による共同制作です。設置当初は、別の場所にあったらしい。

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左側に居る「旗を持った軍人」らしき人の隣に並んで、右側に“スコップを持った少年工員(炭坑員として雇われた少年)”が居ます。当時の少年らは石炭工として働くのが尊ばれました。この像は、移動されず、当時の場所で、そのまま50年間、風雪に耐えています。一部セメントが劣化し、剥がれ落ちているとの指摘もあります。ぜひ先人達の、その当時の思いを紡いでいくためにも、その像を永久保存していきたい。
 
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