常磐病院に設置されている、手術ロボット ダヴィンチの手術室を見学させていただきました。福島県には、ここ常磐病院、会津中央病院、竹田綜合病院、福島県立医科大学附属病院の4台しかないうちの1台です。

勤務医師数でいうと、いわきの病院で地域一番店は、市立総合磐城共立病院の115名。2番手、3番手が福島労災病院・かしま病院の約30名です。それに続くのがこちらの常磐病院等で約20名の医師が勤務されています。これに加えて別途、東京女子医大をはじめ、東邦大、帝京大、東京慈恵医大等からローテーションで毎週、応援医師が常磐病院に来て診療にあたっています。また220名もの看護師さん(准看護師さん90名を含む)らが、いきいきと勤務されています。

常磐病院の特徴は、泌尿器科に大きな強みがあることと、透析治療・PET診断があることです。その泌尿器科で前立腺ガン治療に絶大な力を発揮するのが、手術ロボット ダヴィンチです。ダヴィンチ手術は、いまだ全面的に健康保険適用になっていないのですが、前立腺ガン治療に限っては保険適用になるため、年間約100件の手術がこの機械を使って行われているそうです。無影灯が設置された手術室でダヴィンチ現物が動くところを見せて頂きました。

<常磐病院の透析は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/31597075.html
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ダヴィンチシステムは、以下の3つで構成されています。
1. メスやカメラ(2台搭載で3D処理)等のアームを動かす装置
2. メインの術者の操作台
3. タッチパネルで術者に指示可能な外部モニターとスピーカー・マイク

こちらが2.のメインの術者が操作する台です。顕微鏡のように両眼で覗きながら、両手でアームを両足でペダルを操作します。

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こちらが、3. タッチパネルで術者に指示可能な外部モニターとスピーカー・マイクです。術野が、極めて鮮明な拡大画像で映し出されます。この画面に監督者がタッチすることで、メインの術者に指導やアドバイスすることも可能とのこと。

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許可をいただいて、私もトレーニング用のダヴィンチを操作させて頂きました。カメラは先端に2台搭載されていて、自動的に3D処理されているため、顕微鏡のように両眼で覗く術野は驚くべき解像度で、まさに目の前にあるように立体的に見えます。すぐ50cm先に術野があるように錯覚します。両腕のアームを動かし手術するわけで、お腹にちいさな穴をあけてアームを入れて手術するという点では、原理的には内視鏡手術と同じです。しかし、3Dの鮮明画像で確認しながら、術者が補助者に頼らず抑えや術野の確保ができ、3本のアームとカメラが細かく動かせること等により、同じ手術手続なら、内視鏡手術の2-3倍のスピードでできることが体感できました。保険適用ならば、多くの内視鏡手術が、ダヴィンチ手術に置き換わっていくことは必至です。

現在、ダヴィンチを操作できるのは「人として信頼できるガンの名医100人」に選ばれた、ときわ会常磐病院の新村浩明院長(アロハシャツで有名)のほか、数名だそうです。手術する際は、執刀医師2名に看護師、麻酔科医、技術スタッフ等の7-8名体制で行うとのこと。

<人として信頼できるガンの名医 新村院長は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/46144120.html
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いわき市では、重篤な救命救急患者の3次救急病院として、市立総合磐城共立病院が1つだけ指定されています。それ以外の2次救急としては市内の約20病院が救命救急をやっており(病院により多寡はありますが)、病院群輪番制で事前に優先日を決めています(病院規模により月に数日~10数日程度)。ちょうど、常磐病院に救命患者が搬送されてきたところでした。

上述のとおり、泌尿器科・人工透析等がメインの病院であるため、救急のメイン?である、心筋梗塞・脳疾患・事故等による整形外科的手術は対応できないことが多い病院です。そのためこれまで病院群輪番制で救急搬送受け入れ件数が比較的少ないという見方もありましたが、今年に入って、救急救命医が加入し、救急車を700台以上受け容れており、昨年対比6割増だそうです。いわきの医療にとって、誠にありがたいことです。

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注)上記写真は、すべて常磐病院様の許可を得て撮影しております。当方の理解不足により、記載内容に不備や不正確な点がある可能性があります。