総合磐城共立病院は、現在、平成30年12月のオープン(駐車場を含むフルオープンは平成32年頃)を目指して、建替えられようとしています。その建設コストの増大ぶりは、尋常ではありません。当初、震災後の平成24年3月に「基本構想」を打ち出し、同年12月に「基本計画」を発表したときには、事業概算費として226億円を見込んでいました。

それが、平成26年2月に、「基本設計」を策定したときには、50%増の343億円にコストアップしてしまいました。ここまでは昨年の段階で、「総合磐城共立病院 建替えにあたっての重大な問題点」として指摘してきたところでした。

<総合磐城共立病院 建替えにあたっての重大な問題点>
http://www.mikito.biz/archives/36737347.html

ところが、平成27年11月に、「実施設計」が策定されたときの概算事業費は、なんと+59億円増の、402億円。しかも、これにはエネルギーサービスプロバイダー(ESP)事業供給設備(20億円相当)や、購入分とは別にリースする医療機器(27億円相当)の代金が含まれていません。合算すると、現時点での総合磐城共立病院 建替えコストは449億円となり、3年前の見積り226億円から、223億円増とほぼ倍増しています(今後の物価高騰次第ではインフレスライド条項により、さらなる増額の可能性あり)。驚愕。

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建設コストのために発行する病院事業債284億円の1/2をいわき市の一般会計繰入でやろうとしています。その意味は、いわき市民に142億円の財政負担してもらって新病院を作るということです。ひとつの病院建設に、市民負担をすべきかどうか。ちなみにいわきよりも医療水準が高いのではと噂されている郡山市には、公立病院はなく、私立病院が市民の医療と健康を守っているため、このような市民負担はありません。

危惧しているのは、開院後の返済負担です。今回、福島県の補助金を利用することから、病院事業債の発行は284億円程度になる見込みです。仮に上記のとおり病院事業債の1/2相当の142億円をいわき市が負担したとしても、残り142億円は、新病院自らの収益力から返済していかねばなりません。1/2相当の71億円が国からの地方交付税措置(市の一般会計繰入れを経由)の対象となると仮定しても、残りの借入金71億円を期間25年、借入利率2%で元利償還額を計算すると、年間約4億円近くを返済していくことになります。病床数700床、売上200億円程度の自治体病院が、年間約6億円超の医療機器リース料を支払った上で、さらに年間4億円近いのキャッシュを毎年差し出すのは、なかなか容易ではないと思います。また補助金を受けると、自由に建物に手を加えることができにくくなるため、経営の自由度が束縛され、経営者が思うような運用ができなることにもなります。

「医は仁術なり」、医療はハコでやるのではありません。人が全てです。人材投資を続けなければなりません。そのために、経営者は資金を調達しなければなりません。しかし新病院は、想定10億円以上の毎年の償却負担と、実際のキャッシュアウトとして6億円程度のリース料や、4億円近い毎年の借入返済という重荷を背負ってのスタートとなります。放漫経営・赤字経営にならないようにするためは、開院後に(医療の本質から離れて)、人件費を含む経費節減等に懸命に励むことになってしまうのではないか。そういう状態で、医療水準を維持・向上させるための人へ報いるための、人への投資をどれだけ実現できるか。人材に投資しない病院には、従業員の勤労インセンティブはスポイルされますし、募集しても医師・医療スタッフは集まりません。とても心配です。

<参考>いわき市役所本庁舎を仮に今建替えるとすると、約100億円のコストがかかるといわれております。総合磐城共立病院は、その4個分のコストをかけて建設されようとしています。いわき市は人口32万人ですから、449億円÷32万人を計算すると、市民ひとりあたり全員14万円の負担となる計算です。 

どうにかして、再度、建替えのやり方を市民を交えて(例えば有識者会議等)再検討できないものでしょうか。どうにかして、持続可能な経営体制としたい。
<議会での共立病院新病院建て替え計画の見直し要望は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/34605520.html