不振にあえぐ日本の観光業界にあって、旅館やホテルの再生で知られる星野リゾートの星野社長が課題を解決するために経営学の教科書をどう活かしているかを記した本です。日経BP社が発行する経営誌「日経トップリーダー」の連載記事を加筆してまとめたものとのこと、星野リゾートが運営する全施設を2年かけて取材したそうです。

「教科書に書かれていることは正しく、実践で使えるので、経営を教科書通りにやってみよう!」が、著者がいわんとしていること。なぜなら、教科書に書かれている内容は、経営の定石であり、経営判断の根拠や基準となり得るからです。

・自分の直感力を信じられない時に、教科書は自らの経営判断の根拠となりうる
・思い切った経営判断に勇気を持って踏み切るきっかけを与えてくれる(何も変えられないことが実は最も大きなリスクであることが多い)
・経営判断を誤るリスクを最小化してくれる 
・行動のブレも少なくなる。自信を持って進める勇気を与えてくれる。さらには、社員に対して判断の理由を明快に説明できるツールともなりうる。
 
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「教科書」として紹介されている書籍のほとんどは、ポーターの競争の戦略、コトラーのマーケティング・マネジメント、ビジョナリ・カンパニー、ブランド・エクイティ等のMBAで学ぶ教科書たちです。 それに加えて、内村鑑三の「代表的日本人」や古事記も参考文献に上げられていて、英米型経営手法一辺倒でなく、日本人としての誠実さや倫理の高さを重視されいることがわかりました。 
 
星野リゾートの成功は、経営者たる星野社長の天才的な経営センスと直感やカンによるものだと思っていましたが、古典的な教科書のような経営書・哲学を読み込み、それに徹底的に忠実な経営を行っていることに驚いきまた。経営書を「忠実に」実践してる経営者は数少ないであろうし、その教科書のコンセプトを従業員に継続的に理解させる仕組みを作り上げている会社はさらに少ないでしょう。それこそが、不振にあえぐ日本の観光業界の中で、気を吐いて、一人勝ち?ともいえる大躍進を続けている星野リゾートの秘密なのでしょう。絶景露天風呂で有名な、「里山十帖」は、デザイン的思考という、理論よりも感性を重視した経営と、ある意味好対照です。

<里山を創生するデザイン的思考は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/44866424.html

ターゲットを絞って差別化、差別化できない時はアクセスのしやすさ、1ターゲット1ブランド、100%品質保証など、他の経営書に書いてあるセオリーが、星野リゾートがとってきた戦略そのものに置き換えられて説明されているので、とても腹に落ちました。