『物置のピアノ』の上映会&似内千晶(にたうちちあき)監督トーク。いわきまちなかアートフェスティバル「玄玄天2015」の企画のひとつで、アートスタジオもりたか屋 2Fで行われました。
 
<映画『物置のピアノ』予告編は、コチラ>
https://www.youtube.com/watch?v=42y9-jxYcpI
  
『物置のピアノ』の舞台は大震災と原発被害と過疎と少子化で薄れていく福島の片田舎、桃と蛍と美しい自然に囲まれた桑折町。初夏の桑折町へ東京の大学から姉の秋葉が帰郷してくるところから、若い姉妹の葛藤のドラマが始まります。「優秀で何でも出来る美人な姉。それに比べて臆病で 意気地なしで不器用なダメな自分。 少女にとって物置に移されたピアノを弾く事が唯一の安寧の場所であり、世界の中心だった・・・」ストーリーはピアノに魅せられた17歳の女子高生の揺れ動く青春と旅立ちの物語、日本の原風景ともいえる家族の絆の再生を横糸に紡ぐ作品です。

舞台の福島県桑折町は、ちょうど昨年訪問し、この映画を制作したことが市民の誇りであることを聞いていたので、映画自体の内容に興味がありました。

<桑折町の日本最古の三輪車は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/43770456.html
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出典:物置のピアノ 公式サイトより

監督の似内氏は、女優さんと勘違いしそうな、びっくりする超!美人さんでした。トークショーで、似内監督と、もりたか屋の若旦那、会田氏とは「日本映画大学」の同級生とのこと。その縁で、この上映会&監督トークが実現したようです。会田氏がモデレーターを務めましたが、息がぴったりでした。

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原発事故の結果を切り取っているのですが、決して原発反対をテーマにしていません。その後に町に日常として起こったことを事実として、映像に捉えています。当初の脚本では、大震災後を契機とした胸が詰まるようなエピソードがたくさん詰まった、ドラマ的な要素の多い話だったそうです。そのドラマ的要素をそぎ落としていって、日常生活に起こっている事実と、そこからどう歩んでいくかに焦点を当てています。

この映画の目的のひとつが、映画作りというとても大きな労力を使っての作業を通じて、もう一度、桑折町の町のみんなで団結していこうということです。実際に、映画の中には単なるエキストラだけでなく、台詞を持った一般市民も登場しますし、セットの工事でも地元植木屋さん、地元大工さんの奉仕活動で支えられてきたそうです。ラストのシーンに、体育館で町民が一斉に「ウサギ追いしかの山」を大合唱するシーンがあるのですが、それは町民らのガチンコ撮影だそうです。

ドラマ的要素がないと大きな興業を見込めないので、大手配給会社の配給ルートに乗せられず、それは小さな制作費で映画作りをしなければならないことを意味します。それでも制作費の不足は、市民・企業からの「カンパ」でまかなっているそうです。ラストに流れるテロップには、多数の個人名が出ていました。

それにしても興味が尽きないのは、どうやって桑折町民を映画作りに巻き込めたかという秘密です。それは、何度も事前に町長や町民と語り合って、どんな映画を作りたいか熱く語ったこと(ときにはお酒を飲みながら)、そして、現地ロケハン3週間の撮影の間に、町民に参加の声がけを続けていったことだそうです。どんなことでも熱意と、執着心が道を開くということを再認識しました。

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