国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 楢葉遠隔技術センター(楢葉モックアップ施設)を見学しました。場所は、福島第一原子力発電所から20kmに位置する、広野ICそばの楢葉町楢葉南工業団地です。モックアップ施設とは、東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置に向け、実寸大の格納容器を模擬した試験施設での廃炉に向けた実証実験や、災害対応ロボット研究などを行う施設です。経済産業省が850億円を出資し(放射性物質分析・研究施設も含む)、日本原子力研究開発機構(JAEA)が施設の建設や運営を行います。2015.10.19の開所式には、安倍晋三首相も出席され、世界のロボットイノベーションをけん引すると期待されています。

建物は、試験棟(幅80m×奥行60m×高さ40m)と研究管理棟(幅35m×奥行25m×高さ20m)の2棟で、研究管理棟の運用は始まっていますが、試験棟は平成28年4月の運用開始に向けて、目下、建設作業中です。

<開所式のニュースは、コチラ>
http://bit.ly/1HfC30k
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研究管理棟の、没入型バーチャルリアリティ(VR)を実際に体験させていただきました。施設内(模擬空間)を自由に移動し、あたらも1F施設内にいる感覚を体験できるというものです。ジャイロを内蔵した3Dグラスをかけ、ジョイスティック?を持って操作します。福島第一原子力発電所2号機の内部を実際にスキャンしたデータと、当時の設計図書を元データとして、三次元再現しているそうです。過去に、1Fの内部に入ったことのある方の話によると、壁の色や質感等も、ほとんど実機と変わらないという感想だそうです。素人目にも、ものすごく鮮明で、スムーズが動きです。ジョイスティックで模擬空間を進んだり戻ったり、回転したりすることができます。またジャイロを内蔵した3Dグラスにより、上下にも動くことが出来ます。またレーザーポイントをある地点からある地点まで照射することにより、VR内での地点間距離も測定することができます。

このシステムを使うことによって、廃炉の作業計画に沿った訓練を想定し、移動経路や移動速度、おおよその累積被ばく量等をシミュレーションすることが出来ます。作業に必要な機材が、持ち込める大きさか、どういう経路で持ち込むかを、事前に確認することができ、被ばくを抑えることができると期待されます。

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原子力災害からの復興再生には、1Fの廃炉措置は必須です。廃炉のためには、高放射線量下で原子炉内で溶け落ちた燃料デブリを取り出し、放射性廃棄物を処理・処分しなければなりません。原子炉そばの高放射線量下で人間は作業できないので、ロボットを使った遠隔技術が必要不可欠ですが、現時点で、その技術は世界中どこにも、確立されていません。だからこそ、まず試験設備となるこのセンターを作り、次にロボット開発に必要な標準試験法を開発し、それからやっとロボットの設計・開発・動作確認という順序で進めていくわけです。

下の写真が、標準試験場を作り、ロボット共通のタスク遂行能力を定量的に評価する試験法を開発しているところです。この実験フィールドは、高さの異なる階段をいくつか作り、ロボットにそれを上り下りさせることで、ロボットの性能評価や操作訓練を行います。

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こちらが実験管理棟です。現在、約40人あまりが勤務しているそうですが、平成28年4月のフルオープン以降は、研究者を含めて、数倍の人員規模になると思います。

注目すべきは、巨大な試験棟(幅80m×奥行60m×高さ40m)です。内部には、1/8セクター試験体と呼ばれる、1F原子炉格納容器下部のサブチャンバー実機を1/8の大きさにしたもの(それでも直径数メートルはある筒)や、モックアップ階段、モーションキャプチャ、試験用水槽等が設置されます。試験用水槽は、実際の現場を再現できるよう高さ8m水を8トン入れることができる巨大なもので、かつ、現場を再現できるよう水温も50℃程度まで上げられるように設計されるそうです。

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このセンターは、VRを含め福島第一原子力発電所の内部の廃炉作業シミュレーションを、研究者・作業者が全く!放射線被ばくすることなく、何度でも、何時間でも繰り返して試すことができるとい点で、画期的なものとなるでしょう。また内部に持ち込める大きさ等を確認できることも、作業を大幅に短縮することが出来るかもしれません。いままだどこにもない技術を、いつ開発・確立できるか。50年以上要するといわれる廃炉工程も、やっとその端緒につくことができるようになりました。

この施設は廃炉研究だけにはとどまりません。この巨大な試験棟の内部空間を使えば、ドローンのような飛行体の動作研究もすることができるし、さまざまな現場(災害を含む)を想定した、ロボットの動作研究が可能です。そういった意味で、放射線被ばくの心配なく、ロボット研究者が、好きなだけ実験を繰り返せる施設の意味は大きい。最先端の研究者がここで思う存分の研究をし、休暇時は精一杯いわき市でリフレッシュしてもらえるよう、いわきをあげて、研究者らを歓迎する街にしていきたい。

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注)上記写真はすべて、JAEA様の許可を受けた場所で撮影したものです。

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