いわきの林業の伐採現場を見学させていただきました。場所は、川前・小白井地区の山中です。いわきの私有林の多くは、昭和30-40年代に主にスギが植林されており、樹齢が50年経過し、切り頃になっています。

国産材スギ丸太の価格は、35年前の昭和55年をピークに下落を続けています。当時4万円/㎥だったのが、昨今は1万円/㎥程度となり、約1/4まで市場価格が低下しています。この価格水準ですと、伐採と運搬に要するコストが、丸太の売却代金に限りなく近くなってしまい、結果として森林所有者の手取りが非常に小さくなってしまいます。それならば伐採しない、手入れもしない、コストもかけず、何もしないのが、ある意味合理的な判断です。
<平木材市場は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/43649810.html

しかしそれでは、幹が太くなるにつれ枝葉が重なり、地面に光が届かなくなり、草や小潅木が育たなくなり、保水力が失われます。結果、雨水が表土を流してしまい、木の根っこが露出し、それ以上木が育たなくなってしまいます。それでは木材の価値が出ないし、景観だけでなく、環境も悪化してしまいます。

その解決策のひとつが、伐採・運搬のコストを下げて、森林所有者の手取りを増やすことです。コストの太宗が伐採・運搬に関する人件費です。これを削減する救世主が「ハーベスター」です。

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このハーベスター、立木の近くまでキャタピラで自走でき、先端のアタッチメントが複数の役割を果たすことができます。この先端のアタッチメントが、「立木を切り倒す」「原木をつかむ」「原木を安全な場所まで引っ張っていける」「原木の枝打ちをその場で!自動で!あっという間に!やってしまい丸太にする」「丸太を指定された長さに自動で!切ってしまう」等を一台でやってしまうのです。

<YouTube動画は、コチラ>
https://www.youtube.com/watch?v=z4l6oYJn4eQ

これまでは上記作業を、人がチェーンソーを用いて、アナログの経験・カンでやっていました。その結果、多数の工数が必要となり、労働の割に低賃金構造になっていました。また危険と隣り合わせの職場環境ともあいまって、若手林業者が育たず、現場作業者の老齢化だけが進行していました。

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オペレーター一人で、ハーベスターの運転・操作をします。オペレーターが座る運転台は防護柵で守られているので、完全野外での作業よりも、かなり危険が軽減されます。そして人の何十倍もの作業量を、疲れ知らずの機械が、どんどん片付けていきます。課題を挙げるとしたら、その機械の導入コストが2000万円近いことと、幅3m程度の作業道を作ることが必要なことでしょうか。

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指定長の丸太になったら、後はそれをトラックに載せて、材木市場まで運ぶだけです。とはいえ指定長の丸太でも100kgを超え、人力では対応できません。そこで従来の機械「グラップル」で木材を「つかんで」移動させます。林業特有の重機ですが、導入されて数十年経っても現役です。

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山肌で丸太を運搬するのは「フォワーダー」です。キャタピラ駆動なので、山肌をぐんぐん登っていき、グラップルに丸太を載せてもらって、トラックが入れる林道・市道まで運んでいきます。

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フォワーダーで運搬してきた丸太は、林道・市道横に集めておきます。ここまで運べば、通常のタイヤのついたトラックでまとめて運べます。

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これまで林業は、チェーンソーと斧をもって、じっくり時間をかけて大木を切り倒して、人力で手間暇かけて丸太にしていっているという、思い込みがありました。実際には、機械化がきっちり進んでいました。
 
<住友建機の製品動画は、コチラ>
https://www.youtube.com/watch?v=s-a5_UZOZm8&feature=youtu.be
https://www.youtube.com/watch?v=ugcyFeNrdgM&feature=youtu.be
https://www.youtube.com/watch?v=zT0p4EobAH0&feature=youtu.be
https://www.youtube.com/watch?v=wxv8x64PrbM&feature=youtu.be