元在ロシア大使館三等書記官、外務省国際情報局分析第一課主任分析官、「外務省のラスプーチン」と呼ばれた、佐藤優氏による著です。外務省時代の体験、刑務所に収監された経験等を元にした「憂国のラスプーチン」や「国家の罠」という真っ当な本ばかり上梓していますが、この本は、完全にエロ「官能小説」です。

いくつかの小話で構成されています。ロシアマフィアを怒らせた代議士のスケベ「海外政経等事情調査」、美人研修生に英語講習という名目でイケナイことをする首席事務官、在外公館の女性家事補助員が見た「公使の裏金とSEXの罠」等。そのストーリーの中で、まさに官能小説そのもののエロスがちりばめられていました。外務省では、知的美人を「トランジスタ・グラマー」と呼ぶ等、はじめて知る外務省の常識、トリビアが満載です。佐藤氏の筆は多才です。

氏による外務省の評価は、元の身内なだけに、とても低い。「官僚の職業的良心は出世すること」、「外務省の人たちの金銭感覚は、普通の日本人とはまったく異なっている」、「外務省はレイプや公金流用が日常化している犯罪組織」、「あいつらに国益を求めるのは、八百屋で魚をくれと言うようなものだ」「霞ヶ関では、かつて「自殺の大蔵(財務)」「汚職の通産(経産)」「不倫の外務」と呼ばれていたが、今では外務省がその3冠王」等。領収書の提出が求められない機密費を使った内部の飲み会や、外国人大使夫人への贈答品という名目で愛人のプレゼント購入、航空券の正規料金とディスカウントとの差額を浮かせたりする小話には、本棟に愕然とさせられます。

それでもそうしたことが露見されないよう、外務省が政治家や新聞記者のスキャンダル情報を握ることで、お互いを糾弾できないようにしているあたりが、現実なでしょうか。

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