2015年5月に「いわき体験型経済教育施設Elem (エリム、アラビア語で教育の意味)」がオープンしています。Elemでは、小5向けのスチューデントシティ、中2向けのファイナンスパークという体験学習を提供しています。そのうち、中2向けのファイナンスパークに、学習支援の市民ボランティアとして参加しました。仮に決められた自分の年収や月収に応じて月々の家賃・食費・被服費・娯楽費・交通費・投資・預金などのお金(家計の収入や支出)に関する意思決定を行い、自らの関心事や希望するライフスタイル等に基づいて将来の生活設計を体験的に考えるというプログラムです。

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いわき市の全ての中学2年生が招待されていますが、本日は豊間中、植田中の生徒約200人が、18テーブルに5-7人ごとのチームに分かれました。全体の進行はElem専属の先生が仕切るのですが、各チームごとに、私のような市民ボランティアがついて、生徒の学習支援のお手伝いをしていきます。9:00amに開始して、30分のランチタイムを挟んで、15:10まで、みっちり経済を体験します。

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この経済体験プログラムは、公益社団法人Junior Achievementが提供しており、1919年に開始され、現在では世界123カ国で同プログラムを展開しているそうです。日本では、15年前に品川区が導入し、京都市、仙台市、そしてここいわき市の4カ所でのみ展開しています。仙台市・いわき市は、東日本大震災を契機として、中東カタール国からの資金援助を受け、建設されました。プログラムは共通ですが、いわきの実名企業(常磐共同ガス、いわき市水道局、タイヘイドライバーズスクール、源グループ、パレスいわや、ひまわり信金、いわき信用組内等等(敬称略))が登場しますので、臨場感満載です。

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参加者それぞれが、一成人として1ヶ月間の支出をどうコントロールしていうかを体験学習するのですが、すでに個人情報としてそれぞれ別の、年収・年齢・家族構成・所得税・年金・支払保険料等が、事前に与えられます。その前提で、17種類の支出+株式市場の動きを、自らの選択・意志を決定するというものです。17種類の支出の項目としては、住宅・車のローン支払、食費、外食費、お稽古ごとの費用、水道光熱費、携帯電話料金、慶弔費、レジャーとしての旅行代金等があり、これらを家族構成と年収の範囲内でどうやりくりしていくかを考えていくわけです。チーム内で、すでに年収ベースで、数百万円の差がついているケースもあり、裕福であればふんだんにモノが買えますが、年収が限られていると購入できること、やれることに大きな制約ができてきます。また読唇であれば、旅行費用や外食費は一人分ですみますが、妻・子ども2人いれば、それぞれ4人分が必要になってきます。

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まず生徒が悩んだのが、購入する車種の選択です。多くの生徒が、かっこいい2シーターのスポーツカーを選択しました。これには男女の例外はありません。また住宅としては、なるたけ新築で広い(できればマンションタイプ)ものを選択しました。それから、週に1回は家族で美味しいモノを外食したい、等等の希望がでてきます。そして、それらの1ヶ月の支出を合計すると、、、、収入を大きく上回っていることに、愕然とします。

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そこから、支出の内容を見直し、支出額を減らしていくのですが、その過程と苦悩がおもしろい。まずはかっこいい車を、セダンにそして中古車に、そして走行距離が長いものを選択していきます。なぜならその方が月額のローン金額が少ないから。それでも予算に足りないので、次に住居費を削っていくことになります。当初3LDK新築マンション!といっていたのが、2DKの民間アパートになったりします。それでも足りなければ外食費を削る!こどものお稽古事を削る!等、だんだん過激になってきます。

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冗談みたいですが、夫(妻)は外食に連れて行かない!とか、自分は外食しても注文しないで、家族に食べさせることを優先する!など、いろんな家族愛が垣間見れました。ゲームを通じて、独身貴族の贅沢だけれど孤独な生活、貧乏人のつましい子だくさんの生活、お金持ちだけど生活の固定費が高くて楽でない現実等を体験していました。

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この体験学習の終了後に、感想文を書いてもらいました。その中で圧倒的多数の感想は、①楽しかった!です。これまでオカネに対して、あまり深く考えたこともなかったけれど、どういうふうに毎月のオカネが流れているかわかって楽しかったということ。そして2番目の感想は、②オカネの大切さがわかった!ということ。毎月限られた収入・予算を赤字にならないようにどうにかしてやりくりしなければならないし、オカネを大事に使わなければならない、ということ。3番目の感想は、③両親への感謝!です。オカネのやりくりを毎月やってくれ、さらには基礎となる収入を得るための活動をしてくれている両親へ、改めて感謝したい、ということでした。

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さらに考察を深めた生徒は、「今、やるべきことは何か?」「将来の収入を得るために、今、力をつけがんばらねばならない!」等まで、考えているようでした。オカネの使い方を通じて、勤労の対価としての報酬金額、どういう家族になりたいか、そのためにはどのようにキャリアを作っていけばよいか等を、考えるきっかけになったのではないかと思います。非常に良いコンテンツ、学習機会の提供です。ぜひ運営のノウハウをさらにレベルアップし、それを次の運営スタッフに継続し、いわきのこどもたちが、充実した人生を送れるような装置となるように、期待しています。

末筆となりますが、運営に大変な尽力下さっている教育委員会の先生方、ボランティアに参加いただいている学校関係者、保護者、市民ボランティアの方々、さらには建設にあたって資金提供くださったカタール国、アレンジに尽力くださった三菱総研、さらにはいわき市のご担当者の方々らに感謝申し上げます。

注)上記写真は、いわき市教育委員会の許可を得て、撮影しております。