常磐給調を会派で視察しました。正式名称は、常磐学校給食共同調理場です。毎日約5,200食を調理し、市内の小学校10校、中学校8校(主に常磐・内郷・遠野地区)に「おかず」「汁物」等を供給しています。実は主食のご飯や、パン、ソフト麺は、給食センターを通さずに、直接学校に毎日納入されています。
 
せっかく視察させていただいたので、食材費実費をお支払いして本日の献立ランチをいただきました。いわき市の学校給食のおかずは原則、給食調理センターでの集中調理(川部小を除く)で、食材材料費(1食あたり310円)だけを保護者負担とし、その他の調理員・栄養士等の人件費、水道光熱費、運搬費等は、いわき市が負担しています。
 
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本日の献立は、サンマ蒲焼・豚汁・ご飯・牛乳・オレンジ1/4。エネルギー843kcal、食塩は2.7g相当だそうです。サンマは揚げた上でたれがかかっていますが、よくかめば中骨ごと食べられました。かなり美味しいです。聞くと塩分摂取量を基準値以内に抑えるために、手間を掛けて出汁をよくとった上で調理するそうです。栄養バランスがとれて美味しい食事が310円とは、かなりお得だと思います。仮に、食材費にもうちょっとオカネがかけることができれば、素晴らしい献立が実現できるかもしれません。

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現在は、週5日のうち、ご飯が3回、パンが1回、ソフト麺が1回の割合です。ご飯は毎朝、パン屋さんがあのジュラルミンの巨大な箱で炊飯して、あの青い色の発泡スチロールケースで保温して運搬しています。ご飯食の回数は増えましたが、炊飯のジュラルミンの箱と、発泡スチロールケースは、私が小学校時代で使っていたものとほとんど変わっていなかったことに驚きました。

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常磐給食調理センターの総工費は約20億円です。こちらは市内でも比較的大きなものですが、市内には8つの給食センターがあります。こちらでは約30人の調理員と、5人の事務職(栄養士を含む)で運営しています。

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大鍋でカレーを調理中。この鍋で約1,000食を調理できるそうです。なおこの写真は、2階の見学スペースから撮影したものです。調理室内は、完全に衛生管理され、エアシャワー・エアカーテンが設置され、汚染作業室・非汚染作業室に区分された上で、調理員は月に2回の定期的な検便が要求されているそうです。

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一日のスケジュール
8:30 出勤・調理開始
10:30 調理完成・トラック荷積み
10:30-11:30 トラックで各校へ配送(一番遠い学校で約一時間かかる)
12:00 給食
午後 食器回収・配送・洗浄

各校・各学級のラベルが貼ってある缶に、汁物をよそっています。

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いわき市では全国と比較して、肥満傾向の児童・生徒の出現率が高い傾向にあります。例えば小学校4年生では、全国平均が8.1%に対し、いわき市平均では13.7%と、倍近い出現率となっています。これは震災前からの傾向で、はっきりとした原因は特定できていません。おそらくは家庭での食生活や運動等の生活習慣の複合要因かと推測しますが、栄養バランスのとれた給食で、少しでも改善できればと思います。

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食器は、各給食調理センターで違いますが、汁物用の磁器製のボウル・おかず用に磁器製の小皿、ご飯用のプラスチックの平皿です。磁器製は食感や触感は良いものの割れやすいという欠点があります。一方、プラスチック製は、耐久性に優れるものの、食感や触感はいまいちという二律背反があるとのこと。もっといえば、ご飯は平皿ではなく、ご飯茶碗であったほうが良い。子ども達には良い環境で食事を取って欲しいという思いはあっても、コストや洗浄のやり方との見合いもあるので、現在の方式になっているそうです。これはもうちょっと改善の余地があるかもしれません。

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学校給食法第2条には、学校給食を実施するに当たつては、義務教育諸学校における教育の目的を実現するために、次に掲げる目標が達成されるよう努めなければならない、とされています。
一  適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること。
二  日常生活における食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ましい食習慣を養うこと。
三  学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと。
四  食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五  食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を深め、勤労を重んずる態度を養うこと。
六  我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること。
七  食料の生産、流通及び消費について、正しい理解に導くこと。

学校給食は教育の一環です。「単なる昼食」の提供にとどまらず、上記目的、いわゆる食育が達成されるよう頑張って欲しいと思います。