(株)ドームは、アンダーアーマーというスポーツウェアの日本総代理店です。これまでその国内配送センターを栃木県の複数の都市で運用していましたが、「ドームいわきベース(DIB)」という名称で、2016年5月稼働開始に向け、巨大施設を建設中です。もとのいわき電子の工場の撤退跡地で、総敷地面積は37,800坪、総投資額は100億円にも及びます。稼働開始時には、300人の雇用が生まれます。

その概要を、サプライチェーン本部副本部長の藤原敬信氏にお話し頂きました。マネジメントチームのお一人でが、安田社長(昭和44年生まれ)と同年代の世代で、会社全体がとても若いです。

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まず日米のスポーツ産業の規模の相違を話されました。特徴的だったのは、日本のスポーツ産業の規模が5兆円と約10年前からほとんど拡大していないことです。一方、アメリカは15兆円だった産業規模が、3倍の45兆円に拡大している。これはスポーツを産業として投資や消費の対象としてビジネス対象として把握するか、教育や精神といった非ビジネスの世界としてとらえるかという違いが根っこにあります。

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同種の競技(サッカー・野球)で比較すると、さらにその違いが明確になります。日本プロ野球(NPB)とメジャーリーグでは、10年前はほとんど同じくらいの市場規模だったのが、日本では10年で3割しか市場拡大しなかったのが、アメリカでは5倍に規模が拡大している。同様に、Jリーグと英国プレミアリーグを比較すると、10年前は日本のJリーグの方が市場規模が大きかったのにもかかわらず、プレミアリーグは7倍にまで市場規模を拡大し、大きく水をあけられています。

(株)ドームはその日本国内で急成長し、健闘している会社ですが、やはり日本のスポーツ市場規模拡大こそが生き残る道と考え、会社の理念としてスポーツ市場の拡大のために行動しているそうです。

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そのプロセスのひとつが、配送センターをいわきに建設すること。拡大する生産に既存の配送センターの能力が追いつかず、100億円もの投資をいわきに決めました。もちろん国の補助金(津波・原子力災害被災地域雇用創出起業立地補助金)等を活用すれば、最大で総投資額の1/2は補助されるのですが、それにしても新興企業の投資としては巨額です。

(株)ドームはいわきでスポーツの東北一の都市にしたいという思いがあるそうです。具体的には、以下のような構想があるとのこと。
1. いわきシティFCを設立し、いわきをサッカー王国に
2. 小学生の硬式野球の日本一を決めるアンダーアーマーカップをいわきグリーンスタジアムで開催し、いわきを少年野球の聖地に
3. プロアマチャリティゴルフトーナメント、いわきドリームオープンを開催

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野望としては、数万人が収容できる全天候型のドーム施設を建設し、野球・サッカー・バスケットボール等の大きな大会を継続的に開催していけるようになることです。1985年以前はアメリカの野球場等の施設は郊外に建設されることが多かったのですが、それ以降は、集客施設として都市の中心部に建設され、ホテルや他の商業施設と一体となって集客しているとのこと。下のCG図は港にドーム施設や高層マンション等が建設・集積したときのパースです。小名浜港の将来の選択肢のひとつとして、非常に魅力的に見えました。

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