平成27年9月議会 偉人教育について
7番 吉田みきと
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黒字:吉田の発言・質問、青字:執行部からの答弁 

3. 偉人教育について
(1)  郷土資料集
(ア) 現在配布している郷土資料集
配付資料をご覧下さい。こちらがいわき市の郷土資料集で、現在、小学校の社会科の時間において使用され、いわきの地理や産業、歴史、文化等が詳しく、楽しく、わかりやすく紹介されている資料であります。いわき市教育委員会に所属されている委員の先生方が中心となって、毎年改訂に次ぐ改訂を重ねて現在の形になっていると伺っております。大人の私が読んでもその記載内容は非常に興味深く、また最新の情報・写真等も掲載されており、その制作にかける努力に敬意を表するところであります。この郷土資料集は、小学校社会科の授業の副読本という位置づけと伺っておりますが、どのようにして配布しているか伺います。

(教育長答弁)市教育委員会が毎年編集・発行しています「郷土資料集いわき市」につきましては、毎年度始めに、小学校3年生を対象に、無償で配布しているところでございます。

(イ) 郷土学習の時間
その資料を教育現場で使用し地域の学習を何時間程度、学習しているか伺います。

(教育長答弁)学習指導要領においては、小学校3年生、4年生の社会科で、地域の産業や消費生活の様子、地理的環境や地域の発展に尽くした先人の働きなどについて学習することになっております。
各学校においては、主たる教材である教科書と市教育委員会発行の郷土資料集を併用しながら、小学校3年生、4年生合わせて160時間程度の学習をしております。
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(ウ) 郷土の偉人を紹介する資料
政府がすすめる地方創生において、地方への若者定住が盛んに叫ばれています。その前提としてそこで生まれ育った者が郷土を愛し、住みたくなること、郷土を誇れるということがあります。それがあってはじめて市外の方も移り住みたくなるのではないでしょうか。そのような郷土愛の根本は、親や兄弟や地域の人たちに育ててもらったから、さらには地域の先人達が残してくれた文化やインフラや産業等の生活の糧があったから、これまで育つことができるようになったのです。6月議会においても、わが清政会の磯上佐太彦議員が、いわきの先人である武術家の国井善弥氏をとりあげましたが、現代人の生活は先人達の活動を礎として成り立っております。その意味で、郷土の偉人、先人の歩みを知ることはとても大事で、いわき市郷土資料集はとても意味のある冊子であります。
惜しむらくは、この資料集では先人の活動を紹介するページが1ページしかないことです。そして先人の活動紹介は、一人あたりそれぞれ3行しかないことです。これでは残念ながら、先人の活動やその思い、ドラマ、人間くささが伝わってこない。ぜひ子どもたちには、先人の功績が単にうまくいったということでなく、いろいろな思いがあって、紆余曲折があった上で、功績を残せたということを知って欲しい。そして勤労や勤勉の大切さとともに、その先人の生き様を参考として、自分のこれから歩む道をしっかりと考えて欲しいと思っています。
そこで、郷土の先人の活動をより詳しく紹介していただきたい。将来的には「郷土資料集」とは別冊で「偉人資料集」を作って欲しいと思っています。お手元に配布の偉人資料集を見て下さい。こちらは金沢市が2012年に市の独自予算で制作した「もっと知りたい 金沢ふるさと偉人館 91人の偉人たち」というものです。金沢市が金沢ふるさと偉人館に委託して、小学生向けに郷土人物伝を編集・発行したものです。
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2013年には、この冊子が、金沢市内の全小学生4.5.6年生に配布され、教材として使われております。紹介スペースには一人2ページが割かれているものから、1ページに10人までさまざまですが、いずれも金沢、もしくは日本の歴史や産業に貢献してきた人達です。先人のにおいを感じるくらいの丁寧な紹介の仕方をしていますが、制作コストは1冊350円くらいだそうです。
いわき市においても、まずは現在使用されている郷土資料集の偉人紹介欄を丁寧に充実していただきたい。ぜひご検討いただきたく、市の所見を伺います。

(教育長答弁)郷土の学習をする際に、偉人を取り上げることは、郷土に対する誇りと愛情を育成する上で、非常に有用であると捉えております。
本資料集においては、学習指導要領に示された郷土の開発の学習において、小川江筋を取り上げ、その学習と関わって、澤村勘兵衛についても学習し、先人の歩みを知り、その工夫や努力、苦心などが実感できるように構成しております。
また、開発、教育、文化、産業の分野で活躍した郷土の偉人を紹介するページを設けているところですが、これについては、子どもたちが発展的に学習ができるようにというところのページでございます。
その他にも様々な偉人が数多く存在することから、学習内容との関わりを踏まえて、偉人を紹介するページの充実に向けてさらに検討して参りたいと考えております。

「小さく産んで大きく育てる」という言葉があります。郷土資料集の偉人紹介欄を拡充いただいたら、次のステップとして、金沢市のように、分冊として偉人資料集としてまとめて、こどもが興味を持てるように紹介していただきだく、ぜひ一歩一歩着実に進めていただきたいと思います。

(2)  偉人の足跡を紹介する施設
(ア) 偉人の足跡を紹介する施設
郷土の偉人・先人を紹介する場として、現在、市内にはどのような施設があるか伺います。

(教育部長答弁)郷土の偉人・先人を紹介する施設としましては、本市の名誉市民でもある詩人草野心平の足跡を紹介いたしました草野心平記念文学館及び生家がありますが、そのほかに郷土の偉人・先人を単独でまたは一堂に集めて紹介している施設は、現在のところ、ございません。

現在の郷土資料集には、7人の偉人が紹介されておりますが、彼らの足跡をもう少し知りたくても、草野心平記念館に限定されてしまっていて、小中学生にとっては、それ以外の人物についてわかりやすい資料や情報に触れることが難しいのが現状であります。

(イ) 常設のふるさと偉人館について
子ども達が自主的に先人の活動の調査を発案して、文献がある場所まで自ら行って、そして文献を読み解くことは現実的ではないと思います。郷土資料集以外で、事実上知る機会がないと思います。先人の活動をまとめて、パネルでの紹介や偉人ゆかりのモノを現物展示するような常設の場があれば、遠足の機会等で触れることができます。
ここで、先ほどの金沢市にある金沢ふるさと偉人館を紹介します。こちらは「郷土が生んだ優れた先人」を顕彰し、その業績を広く伝えるための博物館です。1993年の開館時は、金沢市ゆかりの人物5人だけを紹介していましたが、さまざまな分野で業績をあげた人びとを加え、現在では20人を超える人物の常設展示を行っています。資料や著作の展示、パネルによる解説などにより、その生涯や業績などを広く紹介する人物館です。特に、次代を担う子供たちには、見学や体験などを通じ、その偉業と生き方を知ると共に、こうした先人たちの研究の拠点ともなることを目的としています。ちなみに金沢ふるさと偉人館は指定管理者制度で運用されており、年間委託料は1,500万円、事業企画費は400万円程度と伺っております。

<金沢ふるさと偉人館は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/44727752.html 
 
こういう偉人紹介施設をいわきにも持てないでしょうか。例えばいわき市文化センター1Fの科学展示室に偉人紹介スペースを設けてはいかがでしょうか。現在いわき市全部の小学校5年生、中学校2年生が一度は、東分庁舎の前にあるElemで経済体験教育を受けていますので、その帰りに文化センターの偉人紹介スペースに立ち寄ることができるのではないでしょうか。設置場所も含めて、こどもたちの郷土愛を醸成に資するための、偉人紹介施設についてのお考えを伺います。

(教育部長答弁)現在、市文化センター科学展示室をリニューアルする一環として、磐城平藩主の安藤信正をはじめとした本市にゆかりのある歴史上の偉人を紹介するパネルの展示等について検討しております。併せて、これまであまり知られていない郷土の偉人についても、地域の方々から情報を収集し、紹介していくことも検討して参りたいと考えております。
私の思いは、いわきの社会全体に仕事と希望があふれ、それぞれの死生観を持って頑張る者が報われる社会が実現することであります。子供たちは夢に目を輝かせ、大人は倫理観に基づく秩序を保ち、大人としての自信と誇りにあふれ、子供たちから尊敬されている社会です。すべての人が家族や地域との絆に幸せを感じ、ここに生まれてよかったと感謝できる社会です。
そんな地域となるためには、ひとづくりが第一であります。今回の一般質問では、とりわけ学習環境や学力、先人教育等の人財を育てる具体的な施策についてとりあげて参りました。清水市長におかれましては日頃から「歴史と文化を感じるまち」の実現を目指されると伺っております。その実現に向け、微力ながら全力でお支え申し上げることをお誓い申し上げまして私の一般質問を終了いたします。ご静聴、誠にありがとうございました。

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注)上記記載内容は、当方の手許メモを元に作成したものですので、正確には市議会公式HPをご確認下さるようお願いいたします。