集成材加工業者のキクモクさんにお邪魔して、どのようにして集成材が作られるか見学させて頂きました。集成材の材料は、海外産の材木、ラミーナと呼ばれる木材と、特殊な接着剤です。ラミーナは、主に北欧からコンテナ船で京浜港へ、そして積み替えられて小名浜港で陸上げされたものです。

<ラミーナの積み卸しは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/45269283.html
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初めて知りましたが、集成材を作るには、ラミーナという3mから5mの長さがある木材を、(大胆にも!)約60cmの長さに切ってしまいます。せっかく長い材料なのだから、できるだけそれを活かして使うと思っていたので意外でした。その理由は、強度確保のためには、ソリや節を避け、平均的な木目を使うほうが望ましいからだそうです。

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60cmの長さというと、これくらいの長さ。せっかく長い材料なのに、短く切ってしまうのは、素人的にはやはりもったいない気がします。しかし大きな節は一定割合で必ず発生し、そこは強度が出せないため、その部分は切り飛ばして捨てるしかない。ちなみにそのようにして大量に発生する端材やおがくずは、工場内だけでは処理しきれないため、外部の方に引き取ってもらっているそうです。昨今、地方でのバイオマス発電、エネルギーの地産地消が叫ばれていますから、ここに何かビジネスチャンスがあるかもしれません。

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工場自体は24時間稼働、40人あまりの現場担当の方が交代で作業を続けているそうです。

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もう一方の材料は、接着剤です。接着剤には屋外用と屋内用があり、キクモク様では屋外用を専門に作っています。溶液は2剤で、それぞれ木材に塗布し、木材を密着させ30分以上温めて硬化となります。

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複数のラミーナを接着剤でくっつけて硬化させた状態です。この後、4面にカンナをかけ、欠けた部分は補修をして完成品になります。

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縦方向にラミーナ同士をくっつけるには、このようにコバをぎざぎざに加工し抵抗を大きくした上で、接着・密着させてます。木材には、木そのものを活かした無垢材がありますが、現在では、木造では集成材を標準の仕様となっているそうです。その理由は、規格がしっかりとしているので、寸法の精度もよいし、反りなどの狂いが少ない。その結果、構造上も無垢より強いからだそうです。

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完成した集成材はJAS規格の強度試験をし、検査機械にパスすると、焼き印が押されて出荷を待つことになります。キクモク様の集成材は、全国のプレカット工場へ出荷され、最終的にはハウスメーカー等が作る家の「梁」にとして使用されることが多いそうです。

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直近では、為替が円安に振れているので、輸入材を使っている会社は材料費のコストアップですから、以前に比べて経営は楽ではないと思います。また船の運賃の観点から、全国の同業者と比べて、いわきという場所が、京浜港等のメインポートの運賃に加え、小名浜港のーカルポートチャージという追加コストを負担しなければならないので、相対的に不利な競争条件にあります。そういう条件下でも、経営努力によってここいわきを地元として拠点を構えつづけていることに、敬意を表します。

注)写真はすべてキクモク様のご了解を経て、当方が撮影したものです。