終戦記念日の前日8/14に、安倍晋三首相から、内閣総理大臣談話が発表されました。その内容は、大東亜戦争に対する内閣の公式見解です。これまでこうした「談話」など、あまり注視してきませんでしたが、戦後70年の終戦記念日を機に改めて読み直してみました。この談話を作成するにあたっては、首相の諮問機関「21世紀構想懇談会」の報告をベースに作成されたものだそうですが、関係各国・関係者の立場を理解した上で、我が国のあるべき立ち位置を明確にしているという点で、非常によく練られた文章だと思いました。またあいまいにすべき点については、あえて明確にしないという点も良かったのではないか。

<内閣総理大臣談話の全文は、コチラ>
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/discource/20150814danwa.html 

2

全体としては、悲惨な戦争と引き起こしてしまった深い悔悟を踏まえ、二度と戦争の惨禍を繰り返してはならないことと、これまでもそしてこれからも「積極的平和主義」を掲げて行動していくことを明記し、歴史の教訓の中から、未来への知恵を学ぶべきこと、これまでの尊い犠牲の上に、現在の平和があることを明らかにしました。

個人的に腹に落ちたのは、以下の2点。

1. 大東亜戦争を引き起こした原因は、(狂信的な軍国主義でなく)、対外的な孤立であったこと
当時、多くの植民地を支配していた欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ経済のブロック化を進めると、日本は孤立し、行き詰まった。さらに日本は外交的、経済的にも多い詰められ、その解決を南方への資源確保に求め、戦争への道を進んでいった。具体的には、国際秩序であった国際連盟からの脱退、そして次第に針路を誤っていった。

2. 戦争責任を次の世代に負わせないこと
当時の戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない。

これまで、ややもすると戦争は狂信的な軍国主義が引き起こしたものであり、またその戦争責任は未来永劫、日本人が背負っていくものだという、誤解・曲解があったと思います。それを冷静に論破し、歴史を踏まえた未来思考へ巧みに修正した点は、特筆に値すると思います。

この談話は閣議決定された上での公表ですので、対外的にも公式の立場を明らかにし、その後の政府の見解にも影響を及ぼすので、非常に大きい意味があります。