東京国立博物館でミイラを見てきました。東京国立博物館は、独立行政法人国立文化財機構が運営する博物館で、日本と東洋の文化財を収集保管、展示公開、調査研究しています。明治5年に創設された、日本最古の博物館であり、本館、表慶館、 東洋館、平成館、法隆寺宝物館の5つの展示館と資料館その他の施設からなる巨大な施設です。国宝87件、重要文化財633件を含む収蔵品の総数は11万点以上。2013年度の来館者数は約132万人と、桁違い。
 
今回は、日本唯一、常設展示されているミイラを見ることです。亜麻布を貼り併せたカルトナージュ棺(厚紙で組み立てたものに紙や布を貼り付けて仕上げる手法)に入っています。死者の名前は「アンクムートの息子、パシェリエンプタハ」と解読されているそうです。黒い物質が付着した棺その目的はいまだに謎とのこと。どうして、古代のエジプト人たちは死んだからだをミイラにしたか、エジプト人の死生観はどんなものだったのか、それらの疑問を持ち、またそのヒントを展示しています。
 
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このミイラは、明治37年に当館の前身、帝室博物館に、エジプト考古庁長官によって寄贈されたもの。寄贈直後に棺は上部分と下部分に切開され、また現状の「身」と「蓋」に分けられて、調査研究されました。棺表面にかけられた真っ黒な液体で、大半が見えなくなっているが、神々の像や銘文が彩色で描かれています。現在は、医療で使用する高精度のCTスキャンで、中身の体を調べ、どのようにミイラが作られたかの研究が進んでいます。

収蔵品の入手経緯は、1. 明治初期以来、博物館の予算で購入してきたもの、2. 個人や団体からの寄贈品、3. 第二次世界大戦後に文化財保護委員会(のち文化庁)から管理換えされたものなどに分けられるそうですが、国を超えた考古学・美術品の寄贈・交換がなされることは、国の友好度の現れでしょう。

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帝国博物館、帝室博物館、国立博物館、東京国立博物館と名前を変え、所管は宮内省から文部省、文化庁、独立行政法人国立博物館、独立行政法人国立文化財機構と、めまぐるしく変わっています。

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収蔵品だけでなく、建物そのものが素晴らしい。公共建築とはどうあるべきか、考えさせられます。

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ちょうど「クレオパトラとエジプトの王妃展」を開催していました。こういった企画展を誘致・展示することができるのも、美術館の人的ネットワーク・日本の国力・友好度・外交力等が、総合的に影響しているのかもしれません。

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