進駐軍がいた昭和20年代の地図の上に、現代地図をトレーシングペーパーに印刷して重ね合わせる「重ね地図シリーズ」です。古地図と現代地図を比較して、左右対称に配置する本は多数ありますが、トレーシングペーパーで重ねあわせることで、ピンポイントで今の場所が、昔、何があったかを知ることができ、画期的な(ある意味、古典的手法ですが)本だと思います。
 
昭和20年、日本は連合国に降伏し、太平洋戦争が終結しました。ほどなく最高司令官としてダグラス・マッカーサーが着任。GHQのトップとして、神とされた天皇をも超える権力を手に入れた彼の手で日本はスクラップ&ビルドされていきます。在任期間中は、ほとんど日本を離れることなく、日本統治に腐心したマッカーサーですが、日本びいきとされ(少なくともそう捉え、感謝していた日本人も多かった)後年、更迭されてアメリカへ帰国するときには20万人の日本人が見送ったといいます。ここまで日本人の心に残ったアメリカ人もいなかったのではないでしょうか。敵国の最高司令官でありながら、統治者として天皇と並んで写真に収まった男、マッカーサー。マッカーサーは戦後の焼け野原の東京に何を壊し、何を造り、何を遺していったのか。それを、古地図と現代図とを比較することで「マッカーサーの時代」を振り返ることができます。まさにタイトルどおり、「2枚の地図に重ねて過去に思いを馳せる」。
 
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かつての皇族(天皇傍系)・貴族(大名家)・侯爵邸(明治の元勲等)の広大な屋敷跡地が、官公庁・ホテル・民間開発されていったのがよくわかります。また現在の大病院が、過去に何という病院であったかを知ることで、病院の体質・風土を推測することもできます。例えば手厚い看護で有名な聖路加国際病院ですが、欧州系でなく独立路線で米国系の教育システムをとっているのが不思議でした。それもかつては米陸軍第49病院として使用されてきたという経緯があるからなんですね。腹に落ちました。

それにしても東京の市電網は世界有数であった。このようなインフラが整備された都市が発展しないはずがない。これを作りあげた先人の歩みに脱帽です。

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