株式会社シャルマンは、福井県鯖江市のメガネ製造・販売会社です。設立は1968年、メガネ工場は分業が多く、零細企業が多いなか、商品企画・デザイン・製造・販売を一貫して行い、問屋を通さず小売店へ直販し、売上高200億円を超える起業です。この鯖江が創業地かつマザー工場ですが、早くから中国の東莞市とアモイ市に工場進出しています。

実質的な創業者で、代表取締役会長 の堀川 馨氏からお話を伺いました。世界6拠点で20名を超えるデザイナーを配置し、各国の消費者の好みに合わせて、商品企画をするんだそうです。
 
もともとは堀川 馨氏の兄が、メガネの「蝶番」部分だけを作る零細メガネメーカーだったそうです。それがメタルフレームのブームから、フレーム全体を作ることに挑戦し、一部品メーカーから、総合メガネ製造業にシフトしていったそう。
 
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2010年、エクセレンスチタンの開発に成功し、微細レーザによる接合技術を完成させたことにより、眼鏡フレームの「ラインアート シャルマン」という、大ヒット商品を世に生み出しました。それぞれ5年、8年という気の遠くなるような開発期間に脱帽です。
・東北大学金属材料研究所との8年に渡る共同研究の成果として「エクセレンスチタン」を開発
・大阪大学接合科学研究所とふくい産業支援センター、共同で5年をかけ、最先端の光加工技術(レーザ微細接合)を開発

「それは、頬をすりぬけてゆく、そよ風のように やさしく、あなたをつつみ込みます。これまでにない奇跡の掛け心地を実現した」、というのがラインアート シャルマンの売りです。独創的なラインを描くデザインは、ユニークで美しいだけでなく、独自のしなやかなフィット感を生み出し、掛けていることを忘れてしまうような軽い掛け心地ということで、海外の有名ブランドフレームを差し置いて、この鯖江のハウスブランドが国内で大ヒット中なんです。

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眼鏡フレーム製造の技術を生かし、産学連携で医療機器業界に参入し、脳外科用手術器具であるマイクロ剪刀で2014年度グッドデザイン賞を受賞し、その切れ味は外科医達を唸らせたそうです。切れ味が求められるはさみの先端以外は、すべてチタン製。チタンはサビない、軽量、非磁性、生物学的安全性などの優れた特徴を有しています。その取り組みに大きな関心と期待を寄せる安倍首相がシャルマンの工場を視察訪問されたとのこと。
http://bit.ly/1TiHduv
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安倍首相が視察された(であろう)本社工場をご案内いただきました。メガネは丁寧に作ると、150-200工程を経て完成するそうです。型抜き・プレス・曲げ加工・溶接・研磨・検査等、フレームに関する工程は、シャルマンの工場内で一貫生産するそうです。

製造機械自体はほとんどが市販製ですから、同じものを作ることはできるかもしれません。しかし、それを直す治具や、一貫生産技術の組み合わせにノウハウがあり、他社はなかなか追随できないそうです。

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立ち仕事の工場勤務にもかかわらず、女性が多い。男女比は半々くらいでした。シャルマンさんでは、トヨタの生産方式を取り入れており、カイゼン提案、多能工システム、小ロット生産等の各所にトヨタの匂いがします。(当然かもしれませんが)、同一職種での仕事内容に男女差は見受けられず、各人の技術分野・習熟度レベルが一覧で貼り出されておりました。おそらくこれが作業技術力、ひいては給与テーブルに反映されてくるのだと思います。人間は本能として少しでも成長し、それを褒められたいという一面があります。それを可視化して、モチベーションにつなげているのだと推察しました。

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シフト表も一目瞭然。これを見る限り、各人によって勤務時間帯だけでなく、絶対的な勤務時間にも差があるようで、出勤時間が遅かったり、退勤時間が早かったりと、柔軟なタイムシフトを受入れているようです。家事もこなす女性にとっては、非常にありがたいのではないでしょうか。

<鯖江市 日本一の子育てしやすいまちの秘密>
http://www.mikito.biz/archives/44686175.html
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