いわき市出身の偉人のひとり、「ライスキング」と称された国府田敬三郎氏のDVDを拝見しました。国府田農場の歴史というDVDです。国府田 敬三郎(こうだけいざぶろう)氏は、福島県いわき市小川町出身で、アメリカの大規模米作の農場経営者です。アメリカ合衆国カリフォルニア州で、大農方式による同地の気候に合った良質なカリフォルニア米「国宝ローズ」の大量生産に成功し、「ライス・キング」と呼ばれました。ちなみに、国府田氏の実家である、小川の国府田米店はいまでも親族により営業が続いています。

このDVDは2部構成になっていて、第1部は国府田敬三郎の歩みを多数の写真のスライドショーとともに、キャプションで紹介しています。第2部は、世界ではじめて飛行機で水田の種まきを行った当時のKODA FARM(国府田ファーム)の米作の一年を紹介しています。とても貴重な写真がふんだんに使われて、ぜひ機会があれば図書館等に収蔵して欲しいと思いました。
 
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国府田氏の少年時代は、「米国富豪伝」というロックフェラーやカーネギーなどの成功列伝を綴った本を読んで、アメリカへの憧れを抱くようになります。いったんは、福島県師範学校に進み、教師となりましたが、退職して渡米。1920年にまずはじめに1,800エーカーの土地を借り、米作を始めます。世界ではじめて飛行機で水田の種まきを行うといった斬新な方法を試みて、10,000エーカー規模の米作を行う大農園を経営するにようになりました。
 
しかし、1941年の真珠湾攻撃に端を発した太平洋戦争の開戦に伴い、資産のほとんどを失います。すなわち日系人のコロラド州のアマチ収容所という強制収容所に入れられてしまいます。身柄を拘束されてしまったため、農場の顧問弁護士だったアメリカ人に全てを委託が、終戦後に土地の2/3が無断で売却されていたことが発覚。

それを乗り越えて新たに土地で農園を再開。それまでの品種に改良を加え、日本の米とほぼ変わりの無い「国宝ローズ」の大量生産に成功します。発売後は現地の日本人・日系人から絶大な支持を得るに至り、現在でも代表的なカリフォルニア米の一つとなっています。いわゆるカリフォルニア米を立ち上げたわけで、世界にとっては素晴らしい偉業だという一方、カリフォルニア米の開発成功さえなかったら、コメはずっと日本国内のものでグローバル化しなかったはずで、コメの輸入自由化の問題は起きなかったともいえるわけです。なお、現在でもKODA FARM(国府田ファーム)は孫であるRoss氏が受け継ぎ、国宝ローズを栽培しています。

<KODA FARM(国府田ファーム)は、コチラ> 
http://www.kodafarms.com/
 
米作以外の面でも、戦前から日本人移民達にとっての悩みの種だった「外国人土地法」を撤廃させるべく、帰化権獲得同盟を結成して全米的な運動を展開します。そしてついに1952年にカリフォルニア州最高裁において「外国人土地法は違憲」との判決がでます。日系一世の帰化を認めさせるためのロビー活動への支援や、日本から農村部の青年達のカリフォルニア州への受け入れ事業に、尽力します。東京銀行(現在の三菱東京UFJ銀行)がカリフォルニア支店を設立できたのも、日系人達がスムーズに融資を受けられるようにと活動した国府田氏の影響です。死後には、日本政府から勲三等を授与されており、まさにいわきの郷土の偉人と呼ぶにふさわしい方です。

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このような国府田敬三郎氏の、波瀾万丈の人生及びカリフォルニア米の開発成功のストーリーを映画化しようとする動きがあるそうです。いわきの郷土の偉人が映画化に、(微力ながら)ぜひ協力させていただきたいと思います。