平成27年6月議会 郷土愛醸成について

7番 吉田みきと

 

道標1

黒字:吉田の発言・質問、青字:執行部からの答弁
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(1)  磐城平城の一般公開に対しての取組み状況

(ア) 磐城平城の一般公開に対する市の協力

磐城平城は、江戸時代初期に鳥居氏により築城され、江戸時代を通じて井上氏、安藤氏の居城として使用されてきました。幕末の老中首座であった安藤信正その人が戊辰戦争を戦った地でもあります。安藤信正公の業績は、小笠原諸島の日本領有宣言、ロシアによる対馬の占領事件の解決、幕末テロリズムを契機とした井伊彦根藩と徳川水戸藩との内戦の調停、イギリス・フランスによる日本占領の回避、そして孝明天皇の妹御和宮と将軍徳川家茂との公武合体等、獅子奮迅の活躍をされ、まさにいわきの郷土の偉人というにふさわしいと思います。その磐城平城はこれまで20年以上公開されてきませんでしたが、この4月から平まちなか復興まちづくり推進プロジェクトチームにより、磐城平城の本丸跡地、いわゆる物見が岡といわれる地の一般公開が始まりました。ふくしまデスティネーションキャンペーンに合わせて、6月までの期間限定公開ですが、これまでに14千人を超える来場者がお越しになっています。このような民間の活動に対して、市はどのような協力を行なっているか伺います。

 

(教育部長答弁)磐城平城本丸跡地の一般公開につきまして、地元観光関係者と自治体が、JRグループをはじめ全国の旅行会社などと連携して行なう国内最大級の観光キャンペーンである「ふくしまデスティネーションキャンペーン」の一環として期間限定で現在も行なわれております。

この事業に対する市の協力として主なものを申し上げますと、いわき駅西駐車場の使用料の減免、市総合観光案内所における情報の提供のほか、関連イベントとして、総合図書館では、4月に特別上映会「映像で見る歴史のまちなか」を開催したところであり、考古資料館では、8月中旬まで「近世いわきの藩展Ⅱ」を開催しております。

 

(イ) 入場実績に対する評価

磐城平城本丸跡地には、明治初期に建設された平藩仮藩庁が現存しております。その内部には、個人の方が5年の歳月をかけて作られた約2メートル四方の平城のジオラマが置かれ、当時の様子を知ることができます。また和室では、民間ボランティア団体等による、お茶のふるまいやお花の展示等が行なわれております。各所に案内のための高札が建てられ、由来等を知ることができ、案内人の説明に耳を傾ける市民が数多く見られました。また芝生広場は、安心・安全な場所として小学校の遠足の行き先として使われております。イオンさんやイトーヨーカドー等まちなか商業者の協力もあり、入場者の関心は高く、地域全体とした意識醸成ができつつあると感じております。またこれに合わせて地元ロータリークラブと地元高校生により、いわき駅北口に、郷土の偉人、東洋の製薬王、星一を顕彰する銘板が設置されるというように、市民の機運も高まっております。このような平城の一般公開の入場実績に対して、市はどのように評価しているか伺います。

 

(教育部長答弁)一般公開を実施している「平まちなか復興まちづくり計画推進プロジェクトチーム」によりますと、67日までの来場者数は、約14千人となっております。

本市の玄関口であるいわき駅の周辺で、このようなイベントが開催されていることは、子ども達が郷土の歴史について理解を深める機会になることをはじめ、本市の歴史的魅力や観光面での情報等を発信することにより、観光交流人口の拡大につながるなど、大きな効果があるものと評価しております。

 

(ウ) 一般公開が郷土愛醸成に与えた効果

入場者に聞くと、「1. こんな場所にお城があったことを知らなかった」「2. 公開を続けて欲しい」「3. 郷土愛を育むには、まず地元のことを知らなければならない」等の意見が聞かれます。我々の現代生活は、先人達の歩みの上に成り立っております。高校生が毎日通学で使っている、いわき市の玄関口であるいわき駅は、磐城平城の外堀の跡地に作られたものであります。いわばお城はいわき市民の精神的支柱、精神的な心棒というべきものであります。地域の郷土愛を育むためにも当時の磐城平城の様子を市民と共有することが、我々清政会の願いであります。平城をほうふつとさせるようなモニュメント、例えば、公有地化した上で、いわき市民の共通理解のもと、誇りとなる磐城平城の代表的な櫓である三階櫓を再現することに対する市長のお考えを伺います。

 
(市長答弁)磐城平城は、徳川家康の腹心である鳥居忠政により、慶長8年・西暦1603年から、元和8年・西暦1622年にかけて築城されたものといわれております。

現存している絵図等によれば、本丸には天守閣こそありませんが、城壁に沿って三階櫓が物見が岡に築かれており、雄大な様相で城下町を見下ろしていた想像されます。

磐城平城跡地は、市指定史跡である「磐城平城跡塗師櫓石垣」が現存しているなど、本市の貴重な歴史的資源であり、子ども達にも伝え、後世にわたり活用していく必要性を認識しております。

現在、民有地であることなど、磐城平城の復元につきましては、解決すべき様々な課題はありますが、当時の平城の様子を彷彿とさせるようなモニュメント等につきましては、各界各層の市民の方々の熱意など、全市的な機運の高まりを前提とし、具体的な活用の手法の一つとして、広く検討して参りたいと考えております。

 

(2)  磐城平城の公開活動に対しての今後の取組み予定について

(ア) 50周年記念プレゼン大会での入賞の市長の感想

先日516日に、文化センター大ホールにおいて50周年記念事業プレゼン大会が開催されました。これは平成2810月市制施行50周年という大きな節目を迎え、市民等の提案を記念事業に反映するため、記念事業のアイデアを公募し、プレゼンテーションを踏まえて実現に向けた事業選定したものです。一次審査を経た15組のなかから、平まちなか復興まちづくり計画推進プロジェクトチームによる、『磐城平城復元「一夜城」プロジェクト』が優秀賞に選定されました。優秀賞は事業化が見込まれるプロジェクトについて選定されるものであります。市長におかれましては「一夜城」プロジェクトの入賞の感想を含め、郷土愛醸成を育むための今後の事業化への思いを伺います。

 

(市長答弁)平まちなか復興まちづくり計画推進プロジェクトチームからご提案いただいた「磐城平城復元「一夜城」プロジェクト」につきましては、本市が市政施行50周年を迎える来年101日に、磐城平城を一夜限りのイベントとして復元するとともに、その半年前から、市民の皆様が本市の歴史に触れることができるよう、季節に応じた様々な催しを毎月開催しようとするものであります。

プレゼン大会におきましては、企画アイデアのコンセプトはもとより、様々なイベントを連続して展開することにより、市民の皆様の関心を高めようという、独創性と具体性に富んだ内容が高い評価につながり、優秀賞を獲得されたものと受け止めております。

来年度の事業化に際しましては、「歴史的財産である磐城平城の復元などを通じて、市民の皆様が地域の歴史を再認識する機会を提供し、郷土愛の醸成を図る」という提案者の思いを十分に汲み取りながら、提案者と共に、事業の実現に努めて参りたいと考えております。

 

(3)  道標プロジェクトに対する支援について

(ア) 道標についての市長の感想

磐城平城の一般公開に合わせて、近隣の住民の方の発想で、「道標」が制作されております。これは、地元の地名や由来等が書かれた木製の柱で、これまでに6本制作され、磐城平城近隣の民有地に設置されております。これらを見て回るという、いわゆる「巡検」をされる方もおられ、近隣の高校である磐城桜が丘高校の地理の授業の実地巡検等にも使われました。今後これらの道標を見て回るのに役立つ総合案内板や、マップ等のアイデアもあると伺っております。このような市民活動は、いわきの郷土愛醸成に大きな影響があるものと考えますが、このような活動に対する市長の感想を伺います。

 

(市長答弁)私は、地域に受け継がれた財産をしっかりと受け継ぎ、守りながら、新たな歴史や文化を創造していくことが、まちづくりの原点であり、そのためにも、まずは、地域の皆様が自らのまちの歴史を理解し、いまの世代が次の世代に、次の世代がさらに次の世代へと、守るべきものを守り、「いわき」の魅力を引き継いでいくためにも、地域の皆様による道標プロジェクトは意義のあるものと考えております。

 

(イ) 今後の支援について

この6本の道標は、磐城平城に限ったものではなく、城下町にちなんだ町名や、それぞれの地名の由来等に応用可能であります。それが地域活動、地域づくりの種となり、まちなかに限らず各地の郷土愛醸成のひとつのツールとして増えていって欲しいと思っております。現在の道標の制作・設置はすべて地元の方々の浄財でなされていると伺っておりますが、大きさや材質等により、今後地元のご負担が大きくなるケースも出てくると思います。地元の要請により、このような地域が主体となった活動に対して市としての支援について伺います。

 

(市民協働部長答弁)地域が主体となって、地域の歴史や貴重な資料等を保存・継承し、さらには、これを活用する事業に対しましては、歴史的検証に係る助言等を行なうとともに、歴史的建造物の保全・改修や案内版を設置する場合に、「まち・未来創造支援事業補助金」等において支援してきたところであります。

今後につきましても、引き続き、このような取組みを通して、歴史を振り返ることにより、次世代を担う子ども達が、地域に学び、そして、地域に誇りを持てるような、歴史・文化のまちづくりを推進する観点から、必要な支援を行なって参りたいと考えております。

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