「肉筆浮世絵の華と艶」が、いわき市立美術館で開催されいます。肉筆浮世絵は、江戸時代の浮世絵のジャンルのひとつで、浮世絵師が自らの筆で直接絵絹や紙に描いたものです。安価で大量生産が可能であった版画と違い、肉筆画は制作数が少ないため、貴重です。
 
その肉筆浮世絵を、故・氏家武雄氏が、長年にわたり肉筆浮世絵の蒐集につとめてきたのが、氏家浮世絵コレクションです。通常は鎌倉国宝館でしか見ることができない肉筆浮世絵の名品が、いわきで紹介されています。このコレクションは、遊女の美人画や役者絵などが、メインであることに特徴があります。

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絵師自らが筆をとって描いた肉筆画からは、筆遣いや彩色などを通じて絵師の技量がじかに伝わるといわれています。菱川師宣、鈴木春信、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川広重らの超有名な絵師は、版画だけでなく、肉筆浮世絵も残しています。目の前にあるものは、まさにホンモノ。これらの絵師が200年前に、全身全霊をかけて、毛筆で紙に向かって描いていたかと思うと、背筋がぞくぞくするほど、先人の歩みを感じることができます。

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