いわき市平下神谷にある北部浄化センターで、公共下水処理の現場を見せていただきました。し尿や生活雑排水・雨水等をまとめてキレイにして川に放出する施設です。

<下水処理の種類>
1. 公共下水道(国土交通省所管)
2. 地域汚水処理施設(ニュータウン等の大規模合併処理浄化槽、環境省所管)
3. 農業集落排水施設(農業集落の大規模合併処理浄化槽、農林水産省所管)
4. 合併処理浄化槽(各家庭の敷地内に埋設されており、トイレ・台所・風呂・洗面台からの全ての生活雑排水を処理・雨水は処理せず放流)

<下水道以外>
5. 単独浄化槽(トイレの排水だけを処理。台所や風呂の排水は未処理のまま放流)
6. くみ取り方式(し尿だけを地下に貯めておき、バキュームカーをくみ取る。台所や風呂の排水は未処理のまま放流)
5と6は、河川の水質悪化の原因になるので、余り望ましくありません。

数字の順に処理の管理レベルが低くなるため、(コストを度外視すれば)、市域全域を公共下水道にすればよい。しかし公共下水道とするには、雨水管・汚水管の新規埋設・その後の何十年もの管理が必要で、人口集積地区の適用が望ましく、少なくとも人口減少下での新規拡大は現実的ではない。

ということで、4.の合併処理浄化槽が推奨されています。適切に管理をすれば、公共下水道とほぼ同レベルの浄化ができるそうです。

なお現状は、人口割合で公共下水道区域が51%、農業集落排水施設1%、地域汚水処理施設3%、合併処理浄化槽等が24%、未整備(くみ取りや単独浄化槽)が20%です。

無題

いわき市の下水道は、公共下水道が昭和30年代に合併前の平市と磐城市(小名浜)ではじまり、市街地のみで整備されました。それ以外の地区では、単独浄化槽が普及しました。ただこれだと台所や風呂などの生活雑排水が処理されないまま、川に流されてしまいます。そのため、単独浄化槽の新設は禁止となっており、現在の新築住宅は、(公共下水処理区域を除いて)原則、合併処理浄化槽になっています。

地下の巨大な埋設管の自然流下(地球の引力で流れること)で運ばれてきた汚水・雨水はここで混合されて処理します。大雨のときだけは、ちんたら下水処理なんていっていられないので、雨水・汚水まとめて河川放出してしまいます。大雨時の雨水量に比べたら、汚水なんて豆粒のような量なので、問題にならないそうです。

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大雨時に自然流下されてきて巨大な地下タンクに溜まる汚水・雨水は、大至急くみ出して河川へ放出しなければなりません。そのための巨大なディーゼルポンプがこれ。雨天時以外はまったく稼働しませんが、いざというときには轟音を成り立てて排水を開始します。

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通常時の汚水・雨水はゆっくり汲み上げられ、最初沈殿池でゴミや土砂を取り除きます。基本的に匂いを出さないために、最初の方の工程は密閉されています。

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試しに点検口を開けてもらって、匂いをかいでみました。正直・・・あまり臭くない。し尿も含まれているはずですが、風呂等を含む生活雑俳水の割合の方が圧倒的に多いらしく、(良い意味で)期待外れでした。

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メインの処理工程である、反応タンクで、バクテリアを用いて有機成分を分解させます。空気を送り込むことで分解の速度を速めています。

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最終沈殿池で、汚れをもう一度沈殿させ、きれいな上澄み水にします。

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最後は水質試験をして、放流できる基準に適合していることを確認して夏井川に放流します。放流地点の夏井川の色を見ると明らかに、色が違います。放流水の方の透明度が高く、夏井川の水の方がかえって濁って見えます。

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コントロールセンターでは、包括的民間委託の受託者である、水ingさんが施設全体の運営管理しています。どの部分の流量がどの程度かを把握して、処理速度の調整の指示を出します。

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顕微鏡で、バクテリアの活動を見せて頂きました。「ツリガネムシ」というバクテリアが、尾っぽを使って移動しているのが見て取れます。浄化活動はバクテリアの役割、基本的に化学的な薬剤は使用しないとのこと。自然の力は偉大です。

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北部浄化センターは、公共下水の処理だけでなく、浄化槽に溜まった沈殿物(浄化槽内でし尿はバクテリアで完全分解されますが、その死骸やゴミ等)も処理しています。1年に一度、浄化槽のメンテナンス時に、バキュームカー等がそれらを吸引して持ち帰り、この北部浄化センターに持ち込みます。

泥状で持ち込まれますが、処理しやすくするため汚泥脱水機でケーキ状にします。最終的な廃棄物は、建設資材の材料として、セメント会社で使って頂くそうです。

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その製品を手にとって嗅いでみました。バクテリアで分解されているとはいえ、やはり(若干ですが)し尿の匂いがありました。大腸菌が残っている可能性があるため、触れた手は、石けん手洗い&アルコール消毒が必須です。このケーキ状の物体が、われわれ人間が輩出するし尿を処理した最終固形物です。感慨深いものがあります。

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