小川地区まちづくり懇談会。小川は、「ライス・キング」と呼ばれた国府田敬三郎氏や、政治家・実業家としていわき地域発展の礎を築いた白井遠平氏の出身地区です。このまちづくり懇談会の目的は、まちづくりの課題を市民と市が知恵を出し合って、方向性をともに作っていくことです。今回のテーマは「人が元気 まちが元気 活力ある小川の創造」。

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質問は、11つの大項目でした。
 
1. 小川地域総合施設の早期建設について
①まちづくりグランドデザイン策定に係る市の支援について
小川支所は築58年を経過しているため、老朽化が著しい。平成17年から、支所機能に生涯学習機能・保健福祉機能等を併せ持った地域総合施設の建設の要望を続けている。市長からはまず地域自らが地域グランドデザインを策定すべき、と伝えられているが、地域はまだその模索中であり、策定ノウハウも不足している。それに対する市の支援はあるのか。
(回答:市民協働部)
小川地区には平成28年度に福島県が実施主体となって県営の復興公営住宅133戸の建設が進められており、これにより市外から約400名の人口増が見込まれる。これは小川地区の人口の5.6%に相当し、大きな影響がある。これらを含めて地域まちづくり団体が主体と名って、まちのグランドデザインを積極的に策定してほしい。そのために市は、中山間集落支援員や地域振興担当員を配置して、支援している。

②地域総合施設の整備に係る機能・規模等の基準等について
地域総合施設の機能・規模等について一定の基準等はあるのか。
(回答:総務部)
今年度、小川支所・川前支所の整備事業を実施計画に位置づけた。機能・規模等については既存施設の状況や、人口、地域の課題、特徴等を総合的に勘案するため、一律の基準はない。今後、地域と協議し、専門家の意見も聞きながら、必要な規模・機能を検討していく。
(要望)
なるべく早期、できれば平成27年度に地域のグランドデザインを策定したい。そしてその後速やかに施設の具体的な実施計画を進んで頂きたい。

2. 安全・安心な道路の整備について
①県等小川赤井平線の整備促進に係る県への働きかけについて
幅員が狭小で、通学路であるにもかかわらず歩道がない。管理主体である福島県に整備を働きかけて頂きたい。
(回答:土木部)
昭和31年に作られた小川橋も老朽化しており、設計中である。平成27年度の事業化に向けて福島県に対して、小川地区地域振興協議会と一緒に協議していきたい。

②小川小学校・小川中学校への進入道路の整備について
バスの乗り入れもあり、幅員の拡幅が必要である。整備の予定はあるか。
(回答:土木部)
道路幅員の拡幅には、何よりも用地確保のための予算獲得と地権者の同意が必要である。地元の区長会や地域振興協議会等で議論を深める必要があると考えている。

③主要地方道小野四倉線の改良について
当該路線は、夏井川渓谷への観光に不可欠である。整備の予定はあるか。
(回答:土木部)
当該道路改良の要望については、過去のまちづくり懇談会で提案済みである。観光に重要な路線であることは認識しているが、風光明媚な景観を残しつつ、JRの既存線路とのとりあいの中での道路の2車線化は、極めて困難である。今後は退避所の設置を検討していきたい。

3. 河川整備と環境改善について
①夏井川の河川改修について
河川改修の予定は。
(回答:土木部)
二級河川である夏井川は、昭和52年、昭和62年、平成元年に水害を引き起こしている。特に平成元年8月の水害時には、堤防が決壊したため河川改修を実施したが、一部未整備区間が残っている。小川橋架け替えについても併せて県に要望していく。

②小玉川の除草等をするための環境改善について
地元の有志で、河川美化活動の一環として河川敷の除草を実施しているが、河川敷内に岩石があるため、除草活動ができない。対応をお願いしたい。
(回答:土木部)
河川美化活動に感謝する。岩石除去を県に対して要望していく。

③災害に強いまちづくりのための下田川河川改修について
下田川は平成13年に浸水被害を引き起こしている。改修の予定は。
(回答:土木部)
下田川については平成4年から平成18年にかけて改修を実施済みである。また市道認定の予定はない。

4. 市街化調整区域における地区計画制度の活用について
①市街化調整区域における地区計画制度の運用基準の内容について
小川地区は過去に区画整理事業構想が浮上したが、断念した経緯がある。また都市計画法上の無指定区域が広いため、市内の宅地不足からミニ開発が見られる。平成26年7月に地区計画制度の運用基準の見直しがなされたが、その内容は。
(回答:都市建設部)
地区計画制度の運用基準の見直しの目的は、宅地不足解消のための市街化調整区域の土地活用である。5つの累計を定めている。
1 市街化区域隣接・近接型:東日本大震災に伴う宅地需要の高まりに対応し、市街化調整区域における適切な宅地開発を誘導する場合に活用を図る。
2 既存集落型:人口減少による、地域コミュニティの維持などが課題となっている集落において、地区外からの移住者の住宅建設を認める場合に活用を図る。
3 既存住宅団地住環境維持・保全型:既存の住宅団地などにおいて、引き続き良好な居住環境の維持に向けて、地区のルールなどを定める場合に活用を図る。
4 新住宅市街地・住宅団地開発整備型:将来の人口フレームの設定と併せて検討を行い、郊外における新たな住宅団地開発などの実施が見込まれる場合に活用を図る。
5 新規工業団地等開発型:市の行政計画等への位置付けや定期線引き見直しにおいて市街化区域への編入と同時に活用を図る。

②地区計画制度を活用する際の類型について
小川地区に適用可能な類型はあるのか。
(回答:都市建設部)
小川地区に適用可能と考えられるのは、2の既存集落型と思われる。

③地区計画制度における適用対象区域の制限について
適用対象区域の制限がかかる農用地の指定解除は可能か。
(回答:農林水産部)
農業振興地域は、農業振興地域の整備に関する法律に基づき、向こう10年間以上にわたって農業振興を図るべき地域である。そのうち集団的な区域としての農用地区域は、農業の発展に必要な措置、補助金が集中的に行なわれる。
また農地法の農地は、農業委員会の判断で、立地基準・一般基準を満たせば指定解除は可能である。なお、立地基準として10ヘクタール以上の農地の指定解除は認められない。一般基準として周辺の営農地に影響を及ぼす指定解除は認められない。

④農用地区域の見直しについて
農用地区域の見直しにあたってはどのような手順が必要か
(回答:農林水産部)
農業振興地域は、整備計画において確保すべき農地の面積が定められており、必要に応じて変更することとなっている。その手順としては、まず基礎資料を準備し、地区座談会等を開催し地元の意向調査を行ない、原案を作成。その後農業団体等と協議を行ない、最終的に県知事の同意を得るという手順が必要である。

5. 観光交流人口の促進について
①背戸峨廊復旧の見通しについて
震災前は年間70万人が訪れていた背戸峨廊も平成25年には15万人まで減少した。小川地区では渓谷ウォーキングフェスタ等にイベントを開催しているが、それだけでは訪問客の回復に覚束ない。やはり岩石崩落・橋流出によりとっかけの滝までの入山規制されているのが大きい。その復旧の見通しは。
(回答:商工観光部)
現段階では、背戸峨廊の観光客の安全確保は困難である。今後、専門家の判断をいただきながら状況を把握し、関係団体と協議しながら早期改善を図っていきたい。

②JR磐越東線沿線の活性化に係る今後の取組みについて
平成27年は、平駅と小川郷駅が開通して100周年、平成29年は磐越東線が全線開通して100周年である。SL列車・トロッコ列車等の企画列車の運行について、過去に議会答弁があったはず。今後の取組みは。
(回答:都市建設部)
近年はモータリゼーションにより、鉄道の利用客が減少してきた。震災後、常磐線が不通だったことからその代替輸送機関として機能してきた。いわき市鉄道交通を応援する会を発足させたので、駅ハイやSL・トロッコ列車等の企画をJR東日本と協議中である。地域の活性化を図っていきたい。
(要望)
小川地区では、こどもの思い出作りとして、山登りやSL鑑賞を勧めている。ぜひすすめていただきたい。

6. 小川郷駅の環境整備と沿線地域の活性化について
①観光客のために小川郷駅周辺に公衆トイレを新設することについて
小川郷駅は映画ロケ等使用されるなど、大正4年の当初の姿のままであるが、トイレが未だにくみ取り式であり、使い勝手がよくない。田村市では市独自に駅にトイレを設置した例もある。水洗の公衆トイレ設置してはどうか。
(回答:商工観光部)
自然由来の観光地には、市で観光客用に公衆トイレを設置している。しかし駅はその要件に該当しないため、設置は当面、困難である。

②小川郷駅のトイレ改修に係るJR東日本への要望について
現在の磐越東線の路線は、本数・運行時間とも便利とはいえない。利便性向上のため、福島県鉄道活性化対策協議会から、JR東日本に対して要望してほしい。
(回答:都市建設部)
市単独もしくはいわき市鉄道交通を応援する会から、JR東日本に対して要望していきたい。

③いわき駅発磐越東線最終列車の運行時間変更に係るJR東日本への要望について
いわき駅発が19:33であり、それ以降に高校生が帰宅するためには、両親の送迎が必要になっている。最終列車を20:30以降のいわき駅発としてほしい。
(回答:都市建設部)
現在の利用客が少ない状況からは困難と考えているが、いわき駅発最終列車を20:00以降とするよう引き続き要望していく。地元も方々もできるだけJRを利用してほしい。なおプロジェクトチームで、最終列車の時間変更に伴ってどれくらい高校生の乗車利用が増加するかのアンケートを実施予定である。これをベースにJR東日本に示していきたい。

○予定にはなかった追加質問
7. 小川郷駅には1000冊を超える図書コーナーが寄附により設置されている。それに対する市の支援は。
(回答:都市建設部)
協力を検討していきたい。

8. ゆうゆうあぶくまライン16駅は、複数市町村にまたがっており、駅ごとのイベントでなく、他市町村と連携した駅イベントを開催してはどうか。
(回答:都市建設部)
他市町村やJR東日本と連携した駅イベントを検討していきたい。

○フリートーキング
9. 平成26年度産の米価の大幅下落により、農家の経営が成り立たない。今後耕作放棄地が増えると予想されるが、困窮する農家への対策は。
(回答:農林水産部)
来年度への営農意欲の低下を懸念している。今後、販売方法の交渉や関西の業者との交渉をしていく。また無利子融資の利用や減収対策加入制度について、パンフレットや説明会で周知していきたい。

10.  中山間地域等直接支払制度の地域による取扱いの相違解消は。
(回答:農林水産部)
農業生産条件が不利な状況にある中山間地域等における農業生産の維持を図りながら、多面的機能を確保するために導入されたのが、中山間地域等直接支払制度であり、急傾斜地    や緩傾斜地は、平場所に比べて耕作条件が不利なため、一定の金額を交付するものです。多面的機能支払交付金や中山間地域等直接支払制度を併用しながら、調整を図っていきたい。

11. 県の復興公営住宅の詳しい情報は。
(回答:行政経営部)
小川地区には3カ所、133戸の住宅が建設され、その多くが1戸建て形式と県から聞いている。また住民も特定の市町村というわけではなく、双葉8町村ばらばらになると聞いている。

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最後に、清水市長から総括のコメントをいただきました。
小川地区の総合施設建設は長年の要望と聞いているが、平成27年度までは震災の集中復興期間とされているため、すぐには対応できない。平成27年度にグランドデザインを市とともに作ることを検討して欲しい。同時に小川地区の公共施設のあり方を検討して欲しい。道路・歩道の拡幅については、なにより地権者の同意が必要なため協力して欲しい。河川改修は、県の範疇であるため県議会議員の力を借りながら進めるのが望ましい。農地転用はハードルが高い。県の権限を中核市に下ろしてもらうよう要望中であるが、そう容易ではない。観光交流人口については、平成28年度の市政50周年に向けて市民提案を受け、プレゼン大会を開きたい。駅トイレについては、他地区との優先順位もある。自治体連携については郡山市長と話し合いをしている。図書コーナーの充実は検討する。米価下落については、今年11月からいわき産米の学校給食への使用を決めた。小川地区に建設される復校公営住宅については人口増によりプラス面とマイナス面があるので、それもふくめたまちづくりをしてほしい。今後、移動市長室で小川地区に来ることがあるときは、いろいろ意見を聞かせて欲しい。

14:00開始で、16:00終了。これまでの他地区の懇談会とは違い、今回から一問一答方式に質問・答弁のスタイルに変わりました(これまでは一括質疑だった)。これによりややもすれば冗長な質問・同じく冗長な回答であったものが、比較的短いセンテンスのやりとりとなり、わかりやすいやりとりに(すこしは)改善されたのではないでしょうか。他地区のまちづくり懇談会と比較しても非常に内容が濃い会であったのではないかと思います。

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注)上記は、当方のメモをもとに当方が把握できた内容ですので、実際と異なるおそれがあります。正確な情報は、市の公式発表をご参照下さい。