文部科学省 統計数理研究所では、5年ごとに「日本人の国民性調査」という社会調査を継続実施しています。日本人のものの見方や考え方とその変化を、社会調査によってとらえようとするものです。調査は、20歳以上85歳未満の男女個人を調査対象としたサンプル標本調査です。無作為抽出により数千名のサンプル標本を抽出し、個別面接聴取法等で実施されています。

そこでわかったこと、若者の「努力しても報われない」社会。自分の目標に向かって努力することについて、「努力しても報われない」という人は、全体では1988年の17%から2013年には26%へと10ポイント近く激増しています。特に20歳代・30歳代の若い男性ほど、報われないと感じていることがわかります。若者の3割以上が、将来に悲観的というのは健康的な社会とはいえないのではないか。

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<出典:文部科学省 統計数理研究所 国民調査、赤線:2013年調査、緑棒:1988年調査>

別の質問項目では、「わずらわしいことはなるべく避けて、平穏無事に暮らしたい」という項目も。今回2013年には、"平穏無事"を望む20歳代は19%から31%へ増加、30歳代は25%から35%へといずれも10ポイント以上増加しており、このような若年層では、多様な経験よりも安定した暮らしを願うという傾向にあります。これは、上記の「努力しても報われない」社会と関係が深そうです。

 「自分の可能性をためすためにできるだけ多くの経験をしたい」のか、もしくは「わずらわしいことはなるべく避けて平穏無事に暮らしたい」か、自分の気持ちがいずれが近い方を選択した結果。

30年前の1983年には20歳代の80%は「多くの経験をしたい」と考えていたが、現在は68%に低下。同様に30年前は19%が「平穏無事に暮らしたい」と考えていたが、現在は31%に増加。

一方、30年前の1983年には70歳以上の37%は「多くの経験をしたい」と考えていたが、現在は51%に増加。同様に30年前は56%が「平穏無事に暮らしたい」と考えていたが、現在は46%に低下。

これからは、若者の守りに入る姿勢、シルバー層のアクティブな活動というトレンドが見えてきます。


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