郡山市で開催された、日本公認会計士協会主催の新公会計制度導入セミナーに参加しました。地方公会計は、現在、現金主義会計による予算・決算制度です。しかし、これには多くの問題点が指摘されています。
・貸借対照表が作成されないため、地方自治体の持つ資産が不明瞭
・事業別や施設別の行政コスト計算書が適時に作成できないため、政策判断に役立たない
・複式簿記でないため、不明点や異常点等からの適時な要因分析が困難
・固定資産台帳(金額合計が貸借対照表に一致するもの)が作成されないため、公有資産に計上されているが実際には存在しない資産が多数ある
そのため、公会計の改訂が検討され、いくつかの改訂モデルがあります。郡山市では、総務省方式改訂モデルを採用したものの、本格的な複式簿記を導入していないことから、事業別や施設別の分析、また、公共施設等のマネジメントにも資する固定資産台帳の整備が不十分といった課題がありました。
多くの自治体は、現金主義会計では見えにくいコストやストックを把握することで中長期的な財政運営への活用が期待できるため、その整備を推進していくことは極めて重要です。よってこれからの新公会計の目的は二つ。①説明責任の履行、②財政の効率化・適正化 です。しかし、官庁に意思決定のための管理会計・マネジメントの考え方等の発想を入れること自体が、そう簡単ではないと思います。
http://www.mikito.biz/archives/30294005.html
郡山市では、平成27年4月から複式簿記による新公会計制度を導入予定とのこと。市民に分かりやすい財務情報の開示と財政の効率的かつ適正な管理を行うための導入費用として、平成26年度予算案に1億1千万円を計上しています。東京都のシステム導入費用が24億円、東京都町田市の導入費用が1億円と聞いておりますので、郡山市の予算計上額も妥当な線かもしれません。
講師は、 日本公認会計士協会 自主規制・業務本部 公会計担当研究員の公認会計士 川口 雅也氏です。
第1部:地方公会計制度の基礎
・地方公会計改革の必要性と地方公会計制度の変遷
・歳入歳出決算書の課題と複式簿記の効果
・統一基準による財務書類作成に向けた実務上の課題
第2部:現在作成されている公会計財務書類の活用方法
・財務書類の数値そのものからわかること
・財務書類の指標を算定してわかること
最近1年間の主な研修会講師実績は、以下のとおり。東北では今回が初開催とのこと。福島県・いわき市も早急に検討が必要でしょう。
平成25年7月 北海道都市監査委員会 委員研修会
平成25年7月 新宿区議会 公会計研修会
平成25年8月 自民党京都市会 公会計研修会
平成25年11月 新公会計制度普及促進連絡会主催セミナー
平成25年11月 鹿児島県議会・鹿児島市議会 公会計研修
平成26年2月 金沢市議会 公会計研修会
平成26年3月 沖縄県内地方議会 公会計研修会
平成26年4月 荒川区議会 公会計研修会
平成26年4月 杉並区議会 公会計研修会