教育勅語とは、1890年に公表された日本の教育の根幹と国民の培うべき徳行を説いた勅語。正式には「教育ニ関スル勅語」。教育勅語には、日本人が祖先から受け継いできた豊かな感性と伝統的道徳観が込められ、人が生きてゆく上で心がけるべき徳目が、12の項目に別けられて簡潔にまとめられています。当時の学生達は、皆、この教育勅語を暗唱でき(させられ)、また、学校では修身を学んで道徳観を養いました。
<教育ニ関スル勅語>
朕惟フニ我カ皇祖皇宗国ヲ肇ムルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ
我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ済セルハ此レ我カ国体ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦実ニ此ニ存ス
爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭倹己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ学ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓発シ徳器ヲ成就シ進テ公益ヲ広メ世務ヲ開キ常ニ国憲ヲ重シ国法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ
是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先ノ遺風を顕彰スルニ足ラン
斯ノ道ハ実ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス
朕爾臣民ト倶ニ拳拳服膺シテ咸其徳ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ
明治二十三年十月三十日
御名 御璽
この中で扱われている徳目は12の項目。
1.父母ニ孝(こう)ニ 親や先祖を大切にしましょう
2.兄弟(けいてい)ニ友(ゆう)ニ 兄弟仲良くしましょう
3.夫婦相和(あいわ)シ 夫婦はいつまでも仲むつまじくしましょう
4.朋友相信(ほうゆう)ジ 友達はお互いに信じあいましょう
5.恭倹(きょうけん)己(おの)レヲ持(じ)シ 自分の言動を慎みましょう
6.博愛衆(しゅう)ニ及ボシ 広くすべての人に愛の手をさしのべましょう
7.学ヲ修メ業(ぎょう)ヲ習ヒ 勉強にはげみ技能を身につけましょう
8.智能ヲ啓発シ 知徳を養い才能を伸ばしましょう
9.徳器(とっき)ヲ成就(じょうじゅ)シ 人格の向上につとめましょう
10.公益ヲ広メ、政務ヲ 開キ 広く世の人々や社会のためにつくしましょう
11.國憲ヲ重ジ、國法ニ遵(したが)ヒ 規則に従い社会の秩序を守りましょう
12.一旦緩急アレバ、義勇公(こう)ニ奉(ほう)ジ 気をもって世のためにつくしましょう
伝統的な道徳観を天皇を介する形でまとめたものが教育勅語です。問題は、太平洋戦争中に治安維持法体制下で、教育勅語を国民教育の思想的基礎として神聖化し、曲解した思想も含めて生徒に強要してしまったことです。例えば、教育勅語を「御真影」とともに奉安殿・奉安庫などと呼ばれる特別な場所に保管された。また生徒に対して教育勅語の全文を暗誦することも強く求め、評価の対象としたこと。国家総動員法を正当化するために利用されるなど、教育勅語の本来の趣旨から乖離する形で軍国主義の教典として利用されたことです。
12項の内容を見れば、軍国主義への運用根拠とするにはかなり無理があります。一部を除き、我々が学ぶべき内容が明確に示されている大切な教科でしょう。大切な教えの部分は、現代でも当然身に着けるべき内容だ思います。日本人は丁寧・親切・勤勉・チームプレーなどといわれますが、それはもともと日本人のDNAにすり込まれているわけではない。極言すれば明治・大正・昭和の時代に教育勅語・修身等を刷り込まれた世代が、次の世代にそれを受け継いで教え育てた子供達の行動様式がそうだったということだと思います。いまこそ、現代の資本主義・自由主義・貨幣経済に生きる日本人の若者達こそに、日本人として行動することの原点がここにあるのではないかと思います。
12項の内容を見れば、軍国主義への運用根拠とするにはかなり無理があります。一部を除き、我々が学ぶべき内容が明確に示されている大切な教科でしょう。大切な教えの部分は、現代でも当然身に着けるべき内容だ思います。日本人は丁寧・親切・勤勉・チームプレーなどといわれますが、それはもともと日本人のDNAにすり込まれているわけではない。極言すれば明治・大正・昭和の時代に教育勅語・修身等を刷り込まれた世代が、次の世代にそれを受け継いで教え育てた子供達の行動様式がそうだったということだと思います。いまこそ、現代の資本主義・自由主義・貨幣経済に生きる日本人の若者達こそに、日本人として行動することの原点がここにあるのではないかと思います。