フランスの原子力に対する住民感情(パブリック・アクセプタンス)は、日本と違って良好です。その理由は、1. そもそも核保有国であるため、核の民生利用に対して抵抗が少ないこと、2. 資源弱小国であるためエネルギーの自立の観点から、歴史的に原子力が不可欠とのコンセンサスが形成されてきたことです。これにより(省エネルギー、再生可能エネルギーの開発を進めながらも)、基本的には原子力開発を維持していく方針で、現在は原子炉58基(原子力発電所19カ所)で、電気出力63GWe(406TWh/年)を発電しています。これは米国に次いで世界第2位に規模。原子力だけで国内発電総量の75%を賄い、EU内の電気の約2割を生産していることになります。余剰をEU圏の送電網を利用して、ドイツをはじめとするEU各国に売電しています。

(開発一辺倒ではなく、政治情勢や経済性等から原子力政策が見直された時期もありましたが)、国主導の開発路線を国民参加型に改めて、さらに推進されています。
・2006年:「原子力安全・情報開示法」が制定。「原子力安全機関(ASN)」の役割が強化、原子力の安全に関する公衆への情報公開、原子力基本施設と放射性廃棄物質輸送等のリスクの開示と回避方法の情報提供が規定された。
・地元住民への情報公開を目的に「地方情報委員会(CLI)」が組織。CLIは施設の原子力安全および放射線防護に関する一般的な情報の入手や専門家による環境影響調査などを通じて総合的に情報評価を行い、分かりやすい形で住民へ情報を公開することで、情報伝達の透明性の確保や一般公衆の理解促進を担う。

フランスの主な原子力関連機関は、以下のとおり。CEA、ASN、IRSNは政府機関ですし、EDF・AREVAも出資のほとんどがフランス政府からですので、国家総ぐるみで原子力政策を推し進めていることが分ります。
・EDF(Électricité de France、フランス電力公社):電気事業者
・AREVA:核燃料サイクル・原子炉メーカー
・CEA(Commissariat à l'énergie atomique et aux énergies alternatives、原子力・代替エネルギー庁):研究開発 
・ASN(Autorité de sûreté nucléaire、原子力安全局):原子力安全規制当局
・IRSN(Institut de radioprotection et de sûreté nucléaire、放射線防護・原子力安全研究所):原子力安全+核不拡散・核セキュリティ 
・ANDRA(Agence Nationale pour la Gestion des Dechets Radioactifs、放射性廃棄物管理公社):放射性廃棄物処分場の操業、地下研究施設における研究開発

<AREVAについては、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/33134036.html

そのなかでもフランスの原子力政策は、電力会社EDFと研究機関CEAによるところが大きい。EDF(Électricité de France)は、フランス最大の電力会社で1946年の「電気・ガス事業国有化法」によって、国有会社「フランス電力公社」として設立されました。その後株式をユーロネクスト・パリ市場へ公開して民間会社となっていますが、政府が会社の85%ほどを所有し続けている国策会社です。

フランスの核燃料サイクルは、国内完結型です(採掘以外)。
・ウラン鉱を採掘(ニジェール等の鉱山)
・燃料ペレット製造(ピエールラット工場等で5フッ化ウランもしくは6フッ化ウランへ化学的処理、MeloxでMOX燃料製造)
・発電(国内58基の原発サイト)
・再処理(ラ・アーグ工場で、使用済燃料からプルトニウム抽出)
・放射性廃棄物処分(ガラス固化・セメント固化し、フランス北東部ビュールへ最終処分(計画)) 

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<フランス マルクール核廃棄物処理施設を視察は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/40668915.html