高松丸亀町 まちづくり戦略の資料を精読しました。高松丸亀町商店街振興組合が作成したものです。いわきと酷似した過去の状況、クリアな現状分析は非常に参考になります。

<高松丸亀町まちづくり戦略の報告書は、コチラ>
報告書の主張はきわめてシンプルです。新しい都市を造るには莫大なインフラ整備費用がかかります。したがって郊外開発を進めれば進めるだけ、財政は悪化していきます。中心地の敷地面積あたりの固定資産税は周辺の4.2倍とれるが、維持費は逆に郊外部の方が6倍以上の経費がかかります。今後の総人口減少、とりわけ地方の人口減少、国の財政事情の悪化等を考慮すれば、都市をコンパクトに縮めなければ、街の機能を維持出来ないことは必然といえるでしょう。

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現在の中心市街地の商店街の凋落の原因を、郊外型ショッピングセンターのオーバーストアの主要因を求める見方もあります。しかし、以下のことを考慮すると、諸悪の根源が郊外大型店のみにあるのではなく、中心街活性化を阻害しているのは商店主(地権者)自身ではないか。

1. 郊外規制をしても中心部が再生することはあり得ない
頑張らない中心部商店街は郊外規制に胡座をかくだけで、彼らは何もしない。
 
2. 自由競争(消費者の選択肢)を阻害するだけである
県の住民意識調査で、6割の消費者が郊外大型店に満足している。

3. 現在の商店街店主の問題点
・営業時間が短い
・シャッターが降りた商店が放置されている
・買い物をするための、駐車場代がかかる
・休憩する場所も、トイレもない

郊外型大型店は地域に税金を落とさず、地域の経済循環の貢献度は低い。一方、消費者は大型店を圧倒的に支持している。郊外店が売上を伸ばし、商店街が売り上げを失った最大の理由は、消費者が欲しいと思ってる商品が並んでいないということ。本来商店がその魅力を失ったら単なる集客イベントで一時しのぎするのではなく、本格的な次の一手を打たなければならない。すなわち、①業種転換、②新たな商品開発、③廃業等です。高松丸亀町商店街は、①②③の組み合わせを選択しました。 

高松丸亀町の事例から学べること、5点。
1. 失敗例から学ぶ。
ダメになってしまった街の例は、街がどんどん拡散している役所の郊外開発しているところ。立地変動に敏感な商売人はすぐに街を捨て去る。これは一商売人の判断としては正しい。商売人が逃げ出さなくてもいい街をいかに造るか?失敗例には実に沢山の学ぶべき点がある

2. 中心市街地活性化は、単に商店街再生であってはならない。頑張らない中心部商店街は郊外規制に胡座をかくだけで、彼らは何もしない。

3. 合意形成のノウハウ、全員での議論はしない。丸亀町は「議論」をしなかった。
100名を超える地権者を集めて議論してしまうと100年経ってもまとまらない。町から信任を受けた極少人数と専門家チームで計画を作り、丁寧に説明してきただけ。

4. ローカリズムの克服。触媒(専門家)・接着剤(地元)の必要性
外部人材によるイベントの企画・運営のお手伝いはウエルカムだが、財産権に手を触れる話になると、ハレーションを起こしてしまう。地元(地権者)の中でキーマンを育成することが必須。

5. 自分たちのビジョンありき。まちづくり会社はごれを具現化させる道具に過ぎない。
民間主導。お役所は総花の計画しか作れない。いくら国策とはいえ、集中投資なんて出来ないし、やると市長は選挙に落ちる。だから、まず民がやる。そして頑張る民を、役所が支える構図が最も合理的な「まちづくり」の手法。前例主義にこだわらない。