ふるさといわき元気セミナーが新橋第一ホテルでありました。講師は早稲田大学理事の藁谷友紀先生です。経済発展の過程の説明をシュンペーターの「経済の量的拡大」と「質的変化」を題材に説明いただきました。

藁谷先生はドイツのボン大学ご出身だけあって、ヨーロッパ系の経済学です。簡単にいうとケインズ経済学のように、(金融政策はもちろん)財政政策等で物価をコントロールするよりも、もっと本質的に物価を安定させるべきとのお考えのようです。すなわち国民の社会福祉の向上の第一を国民所得の増加と捉えるならば、Y=C+I+G+(E-M)のとおり、I(投資)の部分を、積極的な社会資本の充実に振り向けるべきという主張です。

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通常は、過去の延長線上に沿って連続的に経済発展するが、「ある機」には非連続的に経済発展するポイントがある。それこそが東北大震災というわけです。これがシュンペーターのいう「質的変化」です。一方、その質的変化には「創造的破壊」が必要です。すなわち、既存のビジネスでうまくいっている(既得権益をもつ)既存の会社がリスクを冒して創造的破壊を行なうはずもなく、このような行動がとれるのは、起業家精神をもった新規参入者が必要ということです。まさに震災後のいわきにも、あてはまります。

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例を挙げれば、災害公営住宅は単なる住宅建設で終わってはならない。すなわちこれからの未来につながる投資でなければならない。社会資本の充実という意味では、クラスター(ぶどうの房)の例えもされました。すなわち産業が生まれるためには、一企業で成功するのではなく、関連する企業が集まって集積して、ぶどうの房になることで成功する可能性が高くなり、その例がシリコンバレーです。新産業を起こそうというのなら、単発で企業活動するのではなく、似た企業が集まることで相乗効果がでます。

いわきの復興ビジョンについてはきびしい注文もつきました。すなわち現在のいわきの復興ビジョンは、前市長の時代に作られたモノが、粛々と使われおり、復興の進捗度もこれを用いて説明されています。しかしそれは3年前の震災直後のバタバタしている時期に作られたものであり、いわきの将来のビジョンというにはあまりに稚拙な部分もあるのも事実。ビジョンはいわきの方向性を指し示すものとして非常に重要なものなので、新市長にきちんと見直して欲しいということを、言外に何度もコメントされていました(ように感じました)。

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セミナー修了後は、「いわき市在京、地元各界交流の夕べ」が開催。在京のいわき出身の財界人が大量に集結しました。いわき応援大使も10名以上参加下さり、大変盛り上がりました。偶然名刺交換した方が、かつての平藩の殿様のご子孫だったりするサプライズもありました。

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