子ども・子育て支援新制度が、ヒドイ。平成27年春から、新制度がはじまりますが、4月入園の受付等はこの秋から開始されます。新制度は日本の子ども・子育てをめぐる様々な課題を解決すべく、平成24年に「子ども・子育て支援法」という法律ができたことに始まります。この法律に基づいて、消費税10%を財源として、毎年7,000億円程度が充てられることになっています。

目指すは、 子育てしやすくなるような制度設計と謳われています。
・既存の施設型給付(認定こども園、幼稚園、保育所)だけでなく、地域型保育給付(無認可保育所等の小規模保育等)へも、補助が出るようになった
・幼保連携型認定こども園の認可が、市レベルとなった
・放課後児童クラブなども支援の対象となった

しかし本当に保育サービスの質・量が向上するのでしょうか?問題は、以下の2点。
1. 現行制度にさらに屋上屋を重ねているので、複雑すぎる
既存の幼稚園・保育園に、認定こども園がさらに加わり、認定こども園の中でも、幼保連携型・幼稚園型・保育所型・地方裁量型が併存し、それだけで6種類の施設が、この世に存在することになります。
さらに地域型保育給付には、家庭的保育事業・小規模保育・居宅訪問型保育事業・事業所内保育事業の4種類が、この世に存在することになります。合わせて、10種類の子ども・子育て支援新制度。とても覚えきれない。

これら制度を作り、運用するための公務員の時間コストは莫大ですし、民間事業者が制度をすべて理解するだけの時間に対する逸失利益もとてつもなく大きい。ご存じのとおり、これらの間接コストは、すべてわれわれの税金が投入されていますが、保育サービスの質・量の向上には直接寄与しません。これらの社会的費用を直接、保育の現場へ流したほうがよい。

2. 制度を作るのと、実際に保育施設が増えて便利になるのとは、話が別。
制度を作っても、実際に保育施設が増えるとは限りません。運用次第では、まったく民間から手があがらず、子育て支援の質・量とも増えないおそれもあります。

為政者が市民をたやすくコントロールするには、「依らしむべし、知らしむべからず 」。制度を複雑にすればするほど、市民は関心がなくなり、為政者にとって都合がよいのです。かつての年金制度がそうでした。国民年金・公務員年金・厚生年金・船員年金らの複数の制度を並列させ、かつ物価スライドや保険料だけでなく、税金投入等、仕組み自体を複雑怪奇にした挙句、専門家でも自分の年金がいくらになるかわからないくらいものになりました。その結果、年金財政がいつ破たんするかも試算できず、社会保険庁の記録改ざん等の事件さえも発生してしまいました。

制度はわかりやすく、目指す理念にシンプルに向えるようにすべきです。今回の子ども・子育て支援新制度は、間違いなく、世の中を混乱させます。そのあとで、もう一度制度の見直しが叫ばれることが、すでに予見できます。
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