いわきの医療・まちづくり公開シンポジウムの開催にあたり、いわき市医師会副会長の木村守和先生にご講演いただきました。木村守和先生は、いわき市四倉にある木村医院の院長も務められています。1984年に東北大学医学部をご卒業後、宮城厚生協会坂総合病院、1988年から、国立がんセンター外科で勤務されました。病院と診療所の連携、すなわち病診連携だけでなく、そこから一歩進んで、診療所と介護の連携に積極的に取り組んでおり、いわきの医療の大きな担い手の先生のお一人でいらっしゃいます。
救急医療は、いわき市の医療において最大の課題となっています。磐城共立病院の救命救急センターは、震災前から常勤医が少ない状況が続いています。救命救急センターに搬送される患者の約1/4は軽症患者となっており、搬送先がなかなか見つからないために、最終的に「三次」救命救急センターで受けざるを得ないという状況です。救命救急センター常勤医の確保が急務ですが、救急患者の重症度に応じて「二次」病院や「一次」開業医でも受けられる体制を作らなければならないと考えます。
医師不足解消のために既卒医師・新卒臨床研修医を確保することは最重要課題であり、待遇面を含めて十分な配慮が必要です。磐城共立病院は症例が豊富で医学部卒業後の臨床研修に最適の病院であり、約3年後には新病院完成が決まっているということを全国に向けて発信することが大切だと思います。また、全国には訪問診療などに力を入れ地域に出ていく医療の魅力で研修医が集まっている病院もあります。今後、磐城共立病院でもこういった分野に力を入れることをご考慮いただければと思います。
出典:いわきの医療・まちづくり公開シンポジウム ご寄稿集
日本の医師数の絶対的不足に、地域における偏在、診療科における偏在が加わり、地方の医師不足は深刻な状況になっています。いわき市の病院勤務医数は、東日本大震災以前の10年間で379名から283名へと96名・25%も減った状況で大震災を迎えました。病院勤務医数・開業医数は震災前と比較して大きな変動はありませんが高齢化の傾向にあり、人口が約10%増えたこともあって医療提供体制は深刻な状況です。
診療科については、勤務医が不足ないしはゼロとなっている科も多い状況です。開業医と勤務医の連携・病院同士の連携・他の地域への紹介などが行われています。
救急医療は、いわき市の医療において最大の課題となっています。磐城共立病院の救命救急センターは、震災前から常勤医が少ない状況が続いています。救命救急センターに搬送される患者の約1/4は軽症患者となっており、搬送先がなかなか見つからないために、最終的に「三次」救命救急センターで受けざるを得ないという状況です。救命救急センター常勤医の確保が急務ですが、救急患者の重症度に応じて「二次」病院や「一次」開業医でも受けられる体制を作らなければならないと考えます。
また、現在いわき市は65歳以上の方が25%を超える「超高齢社会」となっており、医療・介護などが緊密に連携する地域包括ケアシステムの構築を、いわき市といわき市医師会が一体となって進めて行く必要があります。
今後ますます高齢化が進むことが予想される中、高齢者が住み慣れた場所で生活を続け在宅や施設で最期を迎える「看取り」を実現することで、最期だけは病院でという救急搬送を減らすことも重要であると考えます。
一方介護職員の不足が顕著であり、介護施設が職員不足のためにやむを得ずサービス制限を行っているところもあります。介護職員の不足も医師・医療関係者の不足とならんで大きな課題です。
いわき市医師会ではいわき市の救急・地域医療を守るため、「かかりつけ医」としての休日夜間の対応・休日夜間診療所などへの協力・在宅(施設)への訪問診療・「看取り」実現の取り組み・医療出前講座の開催などを会員へ呼びかけています。
医師不足解消のために既卒医師・新卒臨床研修医を確保することは最重要課題であり、待遇面を含めて十分な配慮が必要です。磐城共立病院は症例が豊富で医学部卒業後の臨床研修に最適の病院であり、約3年後には新病院完成が決まっているということを全国に向けて発信することが大切だと思います。また、全国には訪問診療などに力を入れ地域に出ていく医療の魅力で研修医が集まっている病院もあります。今後、磐城共立病院でもこういった分野に力を入れることをご考慮いただければと思います。
医療を受ける市民の皆様には、医療資源が限られた資源であることをご理解いただき、日頃の健康管理と健診などの受診・体調不良時の早めの受診・救急車の適正利用などについてご留意いただきたいと思います。また、診療待ち時間が長くなっていることへのご理解とご協力をお願いしますとともに、休日・夜間などに受診した際は医師・医療関係者が疲弊していることへのご配慮をいただきたいと思います。
木村守和氏
1984年、東北大学医学部卒
宮城厚生協会坂総合病院勤務
(1988~1991年、国立がんセンター外科レジデント研修)
1997年より、木村医院院長
2002年より、いわき市医師会理事(介護保険・在宅医療)
2014年4月より、いわき市医師会副会長
出典:いわきの医療・まちづくり公開シンポジウム ご寄稿集