過日、8/9.8/10の二日間にわたり、いわきの医療・まちづくり公開シンポジウムが、いわき市文化センターで開催されました。講演頂いた方々だけでなく、広く市内外、専門家であるかどうかを問わず30名の方々から貴重なご意見、提言をいただき、ご寄稿集を発行しました。主催者のひとりとして、以下の通り、挨拶文を寄せさせていただきました。

吉田

この度はご多忙のところ、当シンポジウムまで足をお運び下さりありがとうございます。市民生活にとって、医療やまちづくりの優先順位が高いのはいうまでもありませんが、それが市民の手から離れてしまっているのが現状です。現在、いわき市内の医師不足数は約200名以上といわれております。この10年間つるべ落しに医師の市外流出が続いており、震災後もそれがさらに顕著になっており、地域医療の崩壊一歩手前という状況です。今後も、市民が受けている低放射線被ばくの健康への影響の推移を慎重に見守る必要がありますし、長期的な廃炉に至るまで原発作業員の健康を守ることも重要です。

今年3月に、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口」が発表され、日本の人口減少が本格化し、加速度的に進行していくことが明白になりました。しかし、多くの人はまだ「ああ、相変わらず少子高齢化が続くんだな」ぐらいの認識です。少子化の進行のみならず、高齢者も減っていきます。その結果、地方の小さなまちから順繰りに“消えて”いきます。その理由は、単純な人の数だけでなく、子どもを産める年齢の女性が半分になった時点で、街はインフラを維持できず、消滅することは不可避だからです。福島県は、不確定要素が多すぎるため、この予測の対象から外れています。これが意味するところは、いうなれば住民が、どんないわきのまちにしたいのか、自ら考え、実行していくことが問われているということです。

1日目まとめ

 医療サービスの質・量を決めるのも、どんないわきの街にするのかも、これまでは供給側であった公的機関や医療専門家・都市計画専門家らが担ってきました。しかし原発事故を契機に、需要側であるサイレントマジョリティである住民の意思・行動が、圧倒的に重要になりました。なぜなら望まない医療・望まない都市ならば、黙って住民は去って行くだけだからです。現実にそれが起きています。
 感情に流されず、きちんと現状を受け止めた上で、何ができるのか、いわきの強み・弱みはどこにあるのか把握した上で、まちを作る。私は、「まちづくりは人づくり」そのためには「若者・よそ者・馬鹿者」の視点が大事で、例を挙げれば、起業や遊びや文化芸能、将来や目の前の学習・仕事等にワクワク感が持てることだと思っています。若者は無限の可能性を持っていますが、それを開花させることができる「場」を提供するのは、われわれ大人の仕事ではないでしょうか。また若者は、そういったわれわれ大人の背中を見て、育っていくのではないでしょうか。

2日目まとめ

 震災前までの医療・まちづくりは、公的機関や業界関係の有識者らの意見が集約され、角がとれた、合意プロセスを経た一つのストーリーが提案・実行されてきました。それは安定した社会が前提だからできたことです。震災を機に、過去の単純な延長線上には未来はない、ということが明らかになりました。今回のシンポジウムは、業界関係者のみならず広く、市民さらに、市外(俯瞰できる、よそ者)からも論点出しと、建設的な提案をいただきました。それぞれの知見から、多様なご意見が出ることを期待しています。次のステップとしては、今回頂いたアイデアや提案を「どれを、いつやるか」「誰がどうやるか」になります。その素地を今回のシンポジウムで築きたいと思っています。

2日目登壇者一同