3.11東日本大震災から3年余りが経過しました。この3月の卒業生は、震災時に中学の卒業式・高校の入学式が満足にできなかった子達です。震災により直接・間接の親戚・友人を失い、また自宅の直接的な被害に会った子達です。それでも震災復興の3年間を、いろいろな思いを持ちながら磐城高校の生徒として通学し、卒業していきました。私の母校でもある磐城高校は市内の進学高校の一つで、多くの生徒が大学進学を目指します。

震災は間違いなく、各生徒の進学先・キャリアプランに少なからず影響を及ぼしました。特に、震災直後の救護活動や、福島第一原子力発電の事故を契機として、医療系を目指す生徒が増えたように感じます。また農業再生を目指す生徒もいました。事故は不幸なことですが、生徒が自分の進む道を自問した3年間となったので、強い意志をもって大学の学部選択をしています。そのような極めて強い意志や地域に貢献したい気持ちを持っていても、学力が伴わなくては希望の学部に進学できません。特に医学部は定員数も少ないため激戦、すなわち極めて高い学力が求められます。特に学費の面から私立医学部という選択肢がなく、国公立医学部先願という背水の陣を引かざるをえず浪人してしまう、もしくは医師への志をあきらめ、より合格が容易な他学部へ希望替えしてしまった生徒も少なくありません。ひとつの解決案として、6年間で数千万円という私立医学部の学費を完全に援助するファンドを作るという方法もあると思います。一定の条件を付した上で、私立医学部進学者に対して、学費負担ゼロで支援している自治体もあるそうです。
 
しかし何といっても生徒の学力そのものの向上に優る解決策はありません。ここにおいて残念なのは、現場の教諭が多忙すぎて、生徒の学習に直接向き合う時間が十分にとれていないことです。磐城高校においては、就業前の自己学習や、終業後の補習、任意のゼミ等、生徒の学習意欲を上げるようなたくさんの取組みをして、実際に効果を上げています。やりがいがある反面、教師の勤務時間がそれに比して増大し、現場は疲弊しています。例えば中学校の例ですが、経済協力開発機構(OECD)が行った国際教員指導環境調査(TALIS)※によれば、勤務時間も日本の教員は世界最長です。全世界平均の1週間の勤務時間が38.3時間に対して、日本は53.9時間と突出しています。多忙さの原因は部活や事務作業の時間です。また日本の先生は、指導への自信が低く勤務時間が長かったという調査結果も出ています。間接業務にはどのような業務の種類があり、それぞれ何時間を充てているのかまず全体を把握する必要あります。そして生徒に向き合う時間やその準備時間、そして教師としてのプロフェッショナリズムを維持する自己研鑽の時間等の優先順位を付けた上で、あるべき時間の割り振りをしなくては、効果的な学習指導がさらに困難になるでしょう。

※OECD国際教員指導環境調査(TALIS:Teaching and Learning International Survey)は、学校の学習環境と教員の勤務環境に焦点を当てた国際調査です。

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教育現場を見せて頂いて感じることは、高校生のポテンシャルは非常に高く、適切な「場」さえ与えれば、それに適応して能力を伸ばすことができるということです。昨年から、磐城高校と米イエール大学とで、毎朝スカイプ通話を始めました。これは語学力の向上というよりも、新しいものに対し、心のハードルを下げるという目的でやっています。そういった場を提供し続けていくことが大人の責務だと思います。

<スカイプ通話は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/32241947.html