劇的救命.jpの今明秀医師に、八戸市立市民病院の救命医療についてお話を伺いました。現在救命救急専従医23名、それに加えて後期研修医が13名在籍しています。救命が好きな初期研修医を育てる、ある意味で教育者の役割をされています。地方の一般的な医師不足はこちらでも同様。その条件下での八戸市民の消防救急体制に対する評価は、76%が満足と回答。

いわき市消防本部の救急者出動回数は、年間約10,000回。そのうち約4割の4,200回(4,200台の救急車)を共立病院が引受けています。365日で割ると、一日あたり11.5台という計算になり、いわきの救急医療の最後の砦になっています。他の病院の夜間当直が1名程度の体制しか組めない状況下では、必ず複数の医師が当直している共立病院が、夜間の救急搬送を事実上、一手に引受けているといってもいいくらいの状態です。現場の医療スタッフの献身的な努力で支えられていますが、その疲弊が心配です。
キャッチが「八重洲口から3時間で手に入る学習環境」。これは、初期研修医向けの名刺でしょう。新幹線を使えば、八戸市まで、たった3時間ということと、「劇的救命」という、最先端の救命救急を学ぶことができることを、うまく訴求できている名刺です。
ドクターヘリとドクターカーを組み合わせた救命救急体制を、独自に「八戸型救急」と呼んでいるそうです。すなわち、急報と同時にドクターヘリとドクターカーを同時出動させることもあるのだそうです。
常に臨戦態勢の今医師ですが、臨床に、後進の指導に、救命救急課の経営に、人材募集に、と八面六臂の活躍のようでした。
今明秀医師にいわく、地方の病院もブランド化し(実はこれが難しい)、それを適切に熱意を持って広報できれば(これはもっと難しい)若い研修医が集まってくる、とのこと。キャッチフレーズは、予測救命率が低い患者を救う「劇的救命」と、ドクターヘリとドクターカーが同時に出動する「サンダーバード作戦」です。と、まとめれば簡単ですが、実際の取組みは地道が努力の積み重ねです。
八戸市は田舎、近くに医科大学もありません。そんな悪条件の中で、今年度の八戸市立市民病院卒後臨床研修プログラムの研修医フルマッチを達成し、平成21年度には病院機能評価の救急医療機能分野で4項目中3項目に評点5、国内で最高点を獲得したそうです。救急医17名を擁し、共立病院の4名体制からすると、羨ましい限りです。今医師いわく、医師不足は地方ということが原因ではない、と断言されています。いわく、まず地域の唯一・頂点・先駆者の病院となり、それを商品として精力的に今医師が自ら広報し、学生や研修医が読む雑誌への多数の論文投稿、研修医向けの救急講習会の全国展開等により、病院自体の魅力度を上げる努力を継続的に行っているそうです。いわき市では救急は、医師にとってはつらい、病院にとってはもうからない、患者にとっては搬送に時間がかかる、と3重苦の悪循環に陥っています。そのソリューションのひとつが、八戸の取組みにあるのではないでしょうか。

いわき市消防本部の救急者出動回数は、年間約10,000回。そのうち約4割の4,200回(4,200台の救急車)を共立病院が引受けています。365日で割ると、一日あたり11.5台という計算になり、いわきの救急医療の最後の砦になっています。他の病院の夜間当直が1名程度の体制しか組めない状況下では、必ず複数の医師が当直している共立病院が、夜間の救急搬送を事実上、一手に引受けているといってもいいくらいの状態です。現場の医療スタッフの献身的な努力で支えられていますが、その疲弊が心配です。
キャッチが「八重洲口から3時間で手に入る学習環境」。これは、初期研修医向けの名刺でしょう。新幹線を使えば、八戸市まで、たった3時間ということと、「劇的救命」という、最先端の救命救急を学ぶことができることを、うまく訴求できている名刺です。
ドクターヘリとドクターカーを組み合わせた救命救急体制を、独自に「八戸型救急」と呼んでいるそうです。すなわち、急報と同時にドクターヘリとドクターカーを同時出動させることもあるのだそうです。
常に臨戦態勢の今医師ですが、臨床に、後進の指導に、救命救急課の経営に、人材募集に、と八面六臂の活躍のようでした。
救命救急センターとは、急性心筋梗塞、脳卒中、頭部外傷など、二次救急で対応できない複数診療科領域の重篤な患者に対し高度な医療技術を提供する三次救急医療機関です。全国200か所以上ありますが、県内では、福島県立医科大学附属病院・いわき市立総合磐城共立病院・太田綜合病院附属太田西ノ内病院・会津中央病院の4つです(正確には、共立病院は二次救急医療機関で、それに併設されている救命救急センターが三次救急医療機関です)。常時高度な救命医療に対応できる医師や看護師等の医療従事者を確保しておくことが必要とされています。
現在、共立病院の救命救急センターに所属している救命救急の常勤医は4名のみ。いわき市・双葉地区・北茨城の医療圏が、この4名の救命救急医に支えられているかと思うと、頭が下がります。もちろん他科からの応援や、応援当直といって他病院からの若い医師の派遣がないわけではありません。とはいえ、最終的に救命救急センターとしての責任をもって対応する常勤医の勤務体制は激務といって過言ではありません。平日昼間は、4名いるから大丈夫ですが、救命救急センターは休日・夜間も対応しなければならないからです。仮に休日・夜間に2名体制とすると、毎月10-15回の当直が必要になり、医師の疲弊は火を見るより明らかです。救急の専門ではない後期研修医の当直や各科からの医師応援があるとはいえ、持続的な仕組みではありません。
患者にとっても夜勤明けで疲れ切った医師に診療してもらうより、体力気力知力が充実した医師に診療していただいたほうがよいのは明らかです。なお、臨床指標による大学病院の医療の質・安全・患者満足度に関する調査という資料によれば、大学病院における薬の誤投与率は100件中2.3件、輸液の誤注入率は100人中1.4件という調査結果が出ています。このように人が携わる行為に完璧はないわけですが、医師のひとりひとり忙しさの軽減は、このような事故率の低減にも大きく関わってくると思います。
今明秀医師にいわく、地方の病院もブランド化し(実はこれが難しい)、それを適切に熱意を持って広報できれば(これはもっと難しい)若い研修医が集まってくる、とのこと。キャッチフレーズは、予測救命率が低い患者を救う「劇的救命」と、ドクターヘリとドクターカーが同時に出動する「サンダーバード作戦」です。と、まとめれば簡単ですが、実際の取組みは地道が努力の積み重ねです。