NPO中之作プロジェクトの建築家、豊田設計事務所 代表の豊田善幸さんを訪ねました。かつてはカツオ、サンマ漁で栄えた漁港のあるまち、いわき市中之作・江名地区。古くは江戸時代に、磐城平藩の貿易港でもありました。そこでは築200年、廻船問屋・つくり酒蔵を営んでいたという古民家の修復作業の音頭を取った方です。自転車が趣味ということもあり、「ぶらチャリ」(ぶらぶら目的なく自転車で散策すること)を提唱されています。

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こちらが、築200年の廻船問屋・つくり酒蔵。

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改修後は、清航館と名付けられました。字も素材も、背景もすべて直接の知人から調達できたそうです。字体も素材もデザインも、素晴らしいと思います。

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古民家入口正面から入ったところのメインダイニング。天井が高い!よく見ると、細部の意匠デザインが凝っているのがわかります。

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古民家には建物だけでなく、アンティークな小物も並べられています。もともとここに保存されていたモノもあるし、あえて外部調達して揃えたモノもあるとのこと。

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2階への階段が、カラクリになっています。段それぞれに引き出しがついている。しかも幅が異常に狭い。現在の建築基準法では、階段(避難路)として認められないことは必至。その特異性もまた、この建物の魅力の一つです。

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2階からメインダイニングを覗きました。今風に言えば吹き抜けのホールになっています。

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2階の窓からは、中之作港が一望できます。ここから見る日の出はキレイなんだろうなあ。また昔日は、ここから港に帰ってくる漁船や回船を見たりしたのでしょうか。ひがなここで、海風に吹かれながら、のんびり昼寝したら気持ちよさそうです。夜は帳の中で、お酒を飲むのも楽しそうです。

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実は、この建物の改装はまだ進行中。昔の工法と手作業こだわって、改装を進めており、ゆっくり時間をかけて少しずつ建物が進化していく過程が見れます。

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細かいところですが、柱に象眼(木材などの表面に模様を彫り、そのくぼみに金・銀・貝など他の材料をはめ込むこと)が施されていました。材料は貝だと思うのですが、柱一面にその加工がなされており、江戸時代に膨大な工数がかけられていた、すなわち、贅沢がなされていたという証です。

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入口の土間。何の変哲もない土間ですが、ガラス戸がはめられるだけで、いきなり現在風になるんですね。建築家の豊田さんだからこそできる、デザインです。

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中之作港の様子。中之作港は、震災前はカツオ漁で賑わっていましたが、漁を自粛していました(現在は一部復活)。波が静かな港を見ていると、心が落ち着く。一方、台風の時など、ちょっと怖い気がする。こちらに住んでいる方々にとっては、日常なのでしょうが、高波や波浪などの自然現象と一体になって暮らしているんでしょうね。

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