米国サンディ・スプリングス市という基礎自治体は、すべての業務を民間企業に委託しました。一体どのように運営されているのかを表した本です。 「自治体を民間が運営」・・・そんなことが本当に可能なのか?と半信半疑で本書を読んでみました。

本当でした。市のほぼ全ての業務を民間委託し、事実上民間が基礎自治体のサービスを「運営受託」しているようです。タイトルに「衝撃」とあるように驚きの連続でした。

市民の代表である市長と議会、そしてその依頼を受けたシティ・マネージャーという公務員が民間会社に警察と消防を除いたほぼ全ての業務を委託するという形式です。完全に民間が運営しているというわけでなく、あくまで官による監視下に業務委託をし、民間の経営努力を最大限活用しています。その結果、地方税を下げることができ、一方、住民の満足度調査では90%以上の方がこのモデルを支持しているそうです。サンディ・スプリングスの成功はアメリカ国内でも注目を集め、現在このモデルを導入する市が増えているとのこと。
 
日本でもPFI(Private Finance Initiative)等の仕組みが導入されていますが、いまひとつうまくいっているとは言えない現状です。しかし日本の風土に適した民間の活用法があるはずです。米国の事例を参考にしながら、持続可能で(例えば黒字経営)、より質の高い地方行政サービスを日本でも実現できるのか、注目です。
 
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こちらの翻訳者、根本祐二先生は東洋大学経済学部教授で、インフラ老朽化だけでなく、地方自治体の効果的・効率的な運営形態を研究されていらっしゃる方です。私はその考え方の基本的な理念に賛同しています。

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