いわき市の過去20年間の一般会計の当初予算額と決算額を、統計書から取り出してみました。例年の予算・決算額は、平成9年度以降から概ね1,200億円前後で推移しています。つまり通常、市が提供すべきとされるサービスに1,200億円のコストがかかる、もしくはそのための財源が1,200億円である、ということを示しています。

それが東日本大震災を機に大きく変容します。大震災は平成23年3月11日発災ですので、4月開始の年度でいうと平成22年度の末にあたります。グラフでもわかるとおり、平成22年度の予算・決算額は、通常年度とほとんど変わっていません。これは、3/11発災から3/31の年度末までには、震災対応予算決算は対応できず、平成23年度以降の予算で対応してきたことを意味します。

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<出典:いわき市統計書から加工、単位:百万円>

では、平成23年度予算はどうかというと、当初予算が1,234億円と通常年度とほぼ変わっていません。これは予算の策定・承認が震災前に行われており、震災対応が含まれていないためです。そして震災後の平成23年度(平成23年4月~平成24年3月)決算額は、いわき市史上最大の1,813億円となります。これは当初予算に対して47%増という空前絶後の決算額の増加となりました。

翌平成24年度の当初予算は、平成23年度決算額1,813億円を踏まえて、1,718億円と見込みました。その後政府の追加施策に伴い、決算額は2,238億円にまで膨らみました。これは通常のいわき市の予算の2倍近い金額です。

平成23年度決算額1,813億円、平成24年度決算額は2,238億円です。通常予算が1,200億円前後ということを考えれば、雑駁に言ってそれぞれその差額約600億円、1,000億円が復興予算といっていいでしょう。空前絶後の規模です。その多くは必要な除染費用という形で費消され、復興予算が将来に役立つ投資といえるかどうかは意見の分かれるところです。

政府は復興事業は震災後5年をめどとするとしており、すでに3年が経過しました。あと残された期間は2年間です。その間に本当の意味で「世界に誇れる復興のモデル都市」となれるかどうか、それとも枕詞・掛け声で終わるのかが、試されています。国民の税金を大量に投入してまで(将来世代が負担する国債を発行してまで)、将来世代に対してわれわれが何ができるのか何を残せるのか、を真剣に考えたいと思っています。