医療従事者(勤務医等)は、長時間労働をはじめとした厳しい勤務環境に置かれているといわれています。持続的な医療提供体制を構築・維持していくために、医療従事者の労働条件の改善が喫緊の課題となっています。2011年12月に独立行政法人労働政策研究・研修機構が、全国の20床以上の病院に勤めている24歳以上の11,145人の勤務医を対象にアンケート調査を実施しています(有効回収率31.0%)。

・労働時間
1 週間当たりの全労働時間の平均は53.2 時間で、「60 時間以上」(「60~70時間未満」「70~80 時間未満」「80 時間以上」の合計)の割合は、40.0%。10人のうち4人が、病院内で1日12時間以上も働いていることになります。これは一般の労働者・サラリーマンとくらべても、「長い」といえるでしょう。

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・有給休暇
昨年1 年間に実際に取得した年次有給休暇の取得日数は、約半数(47.2%)が「3 日以下」(「0 日」「1~3 日」の合計)となっています。これは一般の労働者・サラリーマンとくらべても、「少ない」といえるでしょう。
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勤務医の勤務環境改善の障害事由も調査しています。その要因は、「地域・診療科による医師数の偏在」が53.8%ともっとも多く、次いで「医療行為以外の業務量の多さ」、「絶対的な医師不足」、「時間外診療、救急診療の増加」などとなっています。

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上記を踏まえて、勤務医の勤務環境を改善するための方策についても調査しています。「医師数の増加(非常勤・研修医を含む)」が55.4%ともっとも多く、次いで「当直明けの休み・休憩時間の確保」、「他職種(看護師、薬剤師等)との役割分担の促進」、「診療以外の業務の負担軽減」などとなっています。

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勤務医の労働時間が長いこと、有給休暇の取得率が低いこと。それらは、勤務医の労務環境が良くないことを示しています。それらが起因した原因についても、明らかになりました。そして改善するための方策も見えてきました。ここまで明らかになったのなら、あとはその解決のための具体策を(前例を恐れず)立案し、愚直に実行するだけです。