永田町激震 圧巻の回顧録、というサブタイトルにひかれて購入してしまいました。同じ早稲田大学出身で、数才年上である「朝まで生テレビ」の盟友・田原総一朗氏とハダカで銭湯に入っているカバー写真。こんな型破りの首相ははじめてではないでしょうか。政治とは、交渉とは、派閥とは等を腹を割って語った歴史的記録でしょう。

森喜朗元首相が,ジャーナリストの田原総一朗の「誘導尋問」に答える形で政界のまさに裏の裏を率直に語っています。派閥政治全盛時代、角福戦争、三木おろし、四十日抗争、加藤の乱と自民党の内部の政治力学で何が起こっていたかの一面がわかります。森元首相は、2013年に日経出版社から「私の履歴書」という自叙伝を上梓されておりあちらが表本とするなら、こちらは舞台裏での活動を締めくくる裏本です。
 
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森氏自身も、「おわりに」に書いていますが、田原氏の実に巧妙な誘導尋問によって、つい本音を話してしまったという感想だそうです。もちろん活字になった原稿をみて、大手直しをし、結果的に「いいもの」になったと語っています。それにしても、あまりに森首相からに見た現役国会議員それぞれに対する見立てが率直に書かれていて、なるほどと思いました。

個人的に非常にわかりやすいと思ったのは「汗をかく」の意味です。政治の世界では、いかに「汗をかく」ことが重要かとまことしやかにいわれています。その最大の例は、土曜日や日曜日に自分の選挙区に帰らないで、他人(若手)の選挙区の催し物に出かけることだそうです。現在は小選挙区制になって、土日に選挙区に帰らないと、次回の選挙時に、まず落選します。したがって現行小選挙区制の下で、一定の役職をやろうとするなら、野党との付き合いや若手の世話等のことを考えると、当選3回までに(地元に帰らなくてもいいくらい)選挙区の地盤を強くしなければならないとのこと。先日、塩尾七生さんの「ローマから日本が見える」を読みましたが塩尾さんの求めるリーダーの条件と、現実は派閥の領袖としてまた首相を務められてきた森首相との実話との間の大きな乖離に、けっこうなショックを受けました。