生活保護のマンガです。生活保護については、タブー視されている面があると思います。最低賃金単価が、生活保護水準の受給レベルを下回っていること、いったん生活保護を受給すると賃金を得た分だけ受給額が減額されるため勤労インセンティブが削がれること等、いわゆる「不正受給」が発生する背景には、問題の本質が隠れています。

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あらすじは、夫の健康問題であっという間に生活に困窮してしまう若い家族の物語です。妻は若いから「もっともっと働けるだろう」と、PTA仲間や子供同士のコミュニティーでバッシングされてしまいます。生活保護申請での役所では、いわゆる水際作戦で申請を断られてしまう。ついには妻も働き過ぎで体を壊し、死がリアルに迫ってきます。親族からも 「生き恥をさらすな。人に迷惑をかけるな。」と生活保護申請は恥ずべきことだからやめてほしいと懇願され、「生き延びることは、恥ずべきことではないのか」と悩みながらも、まずは生き延びるために生活保護を受ける手続を始めます。しかし、受給後は親族からお小遣いをもらったり、簡単なアルバイトをしたりすることは著しく制限され、そんな生活が日常になっていく。というものです。

受給される側から描かれたものだけに一方的な面もありますが、制度の不備や偏見もわかり、普通の人があっけなく生活に困窮すること、非正規雇用が蔓延していて、いつ誰が生活保護制度を利用する身になっても不思議でない今日ですから、他人事ではないと思います。生活保護の問題点や受給後の注意点など様々なことがこのマンガで理解できました。

生活保護受給者のその後が課題だと思います。この家族の夫が健康を回復し日常復帰するようになれば、だんだんと生活保護費の割合を減らしていくことになるのかどうか、生活保護制度のことを考えさせられました。