本日3/20のいわき市議会3月臨時会で、「いわき市出産支援金支給条例」が全会一致で可決されました。この背景には、いわき市が、少子・高齢化の進行が極めて高く、出生数から死亡数を差し引いた人口の動態が、全国の中核市の中で最も低い状況にあり、加えて、東日本大震災以降、子育て世代の市外への流出等により、人口減少が顕著になっていることがあります。

このことから子育て世代が本市に定住できるよう、さらなる子育て支援の充実を測る必要があると考えたことから、子育て支援策の一助となるよう、新たに出産支援金支給事業を創設したのです。

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子育て世帯への支給金額は、最大で8万円の一回のみです。これだけでは子育て全体にかかるお金の足しにならない、という声がすでに出ています。確かに生活費に対するインパクトは、相対的に小さいかもしれません。ただいわき市が「子育てを祝福する」という姿勢を明確にするためのものと理解していますし、今後、金額や制度自体の見直しも必要になってくると思います。

実は、この条例可決には、議会内での議論で紆余曲折がありました。
<2月定例議会>
当初、市長提案では「出産祝金条例案」(A案)だったのですが、名称がふさわしくないという理由で、この条例案は議会で否決されてしまいました。ある議員からの提案で、A案から出産を祝福するという文言を削除した「出産支援金条例案」(B案)が提出され、これが議会で可決されました。

その後、市長は、出産を祝福するという文言は条例案に欠かせないとして、このB案を受入れず、再度議会にB案を審議するよう求めました。そしてこのために3月臨時議会が招集されました。

<3月臨時議会>
B案を再度可決するには、出席議員の2/3以上の賛成が必要なのですが、賛成少数でB案は否決。別の議員から、出産を祝福するという文言を入れた「出産支援金条例案」(C案)が提出され、これが議会で全会一致で可決されました。

1. 議会で、出産祝金条例案(A案、祝意あり)否決
2. 議会で、出産支援金条例(B案、祝意なし)可決
3. 市長が、B案を拒否。再議に付す
4. 議会で、出産支援金条例(B案、祝意なし)が2/3を取れず、否決
5. 議会で、出産支援金条例(C案、祝意あり)が全会一致で可決

A.B.C案、いずれも、支給要件・支給金額・対象者等は、全く同じ。違う部分は、条例のタイトル・名称の呼び方です。支給される市民から見れば、議会でいったい何を議論しているんだ、もっと本質的なことを議論せよという声が聞こえてきそうです。市民目線を真摯に謙虚に受け止め、自分に与えられたポジションで何ができるか考えていきたいです。