「燃えたぎる石」は、いわき市で石炭を発見した、磐城の材木商・片寄平蔵の物語です。当時、石炭の使い道も、石炭がどこにあるかも、石炭の堀り方も全くわからなかった時代に、それらを切り開いた男です。最終的には、成功を妬んだ水戸藩浪士により暗殺されてしまうのですが、昔のいわきのことが描かれた著名な小説がほとんどない中、この小説は貴重です。
いわきの近代史において、石炭・炭鉱を抜きにしては語れません。それは江戸時代末期に、片寄平蔵が磐城の国弥勒沢で石炭の鉱脈の露頭を発見したことに始まります。これがあったからこそ、石炭を効率的に運ぶために、小名浜港が整備され、また常磐線が引かれました。その後、エネルギー転換により、脱炭鉱から、新産業都市になったからこそ、工業団地が造成され30万人都市となることができ、それにより中核市の仲間入りすることができました。現在、東北で工業生産出荷額が第1位であることは、この流れに起因しているわけです。
いわきの近代史において、石炭・炭鉱を抜きにしては語れません。それは江戸時代末期に、片寄平蔵が磐城の国弥勒沢で石炭の鉱脈の露頭を発見したことに始まります。これがあったからこそ、石炭を効率的に運ぶために、小名浜港が整備され、また常磐線が引かれました。その後、エネルギー転換により、脱炭鉱から、新産業都市になったからこそ、工業団地が造成され30万人都市となることができ、それにより中核市の仲間入りすることができました。現在、東北で工業生産出荷額が第1位であることは、この流れに起因しているわけです。
<あらすじ>
貧しい開拓農民の家に生まれ、幕府に巨木を納入するまでになった片寄平蔵は、紀州藩の御用商人、明石屋次右衛門から「海外新話」で渡され、阿片戦争により中国が欧米列強に侵略されている現実を知り、衝撃を受けます。そしてアジアが欧米列強の植民地として狙われていること、清国に勝利したイギリスは小国ながら産業革命を成し遂げ、目覚ましい進歩を遂げていることを知ります。そして日本近海に異国船が頻繁に姿を現し、材木商・片寄平蔵は大型船建造のための木材需要を知りますが、さらにペリー艦隊が、「燃える石」が燃料として必要としていることを知ります。そこで西洋の先端技術を支えているのが石炭であることを知った平蔵は、国産の石炭を求めて地元、磐城の国を探索し、ついに石炭が地面に露出している場所を発見。横浜の居留地の一等地に、石炭販売店の大店をオープンさせます。その後、堀り方も一から勉強し、炭鉱開発に情熱を注きます。
外国との交渉にあたって、含蓄のあることを言っています。「異国人というのは、こちらが隙を見せず、誇りと誠意をもって接すれば、向こうも誠意を示す。むやみに恐れる必要はない。怖いのは、むしろ同胞だ」。
いわきの近代史の礎を気づいた片寄平蔵。その物語は、ほとんど知られていませんが、物語として成立しています。いわき出身の方はぜひ読んでほしい。そして近代いわき黎明期に何が起きたか理解すると、自分の町のことをより愛することができるのではないでしょうか。