日頃から、視点鋭く、国内外の諸問題に警鐘を鳴らしている論客のジャーナリスト、櫻井よしこ氏の最新刊です。これまでたくさんの著作がある櫻井氏ですが、本書はこれまでの本格的な論争を仕掛けてきた著作とは、かなりイメージも内容も違っています。政治の話から離れて、自身の半生を振り返り、「仕事とは」「家族とは」「お金とは」「健康とは」「生と死とは」など、人生の本質的な話を、自らの経験で語っています。エッセイといってもいいかもしれません。

これまで櫻井さんの生き様を知ろうとも思いませんでしたし、実際知りませんでした。氏は、ベトナム・ハノイで生まれ、終戦後に日本に引き揚げてから、大分県中津や新潟県長岡での片田舎の生活をしてきました。たまさか父親がハワイで飲食店を出店したことがきっかけで、高校卒業後にはハワイ大学へ進学。しかし父の店舗の手じまいに関わって、父親から勘当され、無一文でハワイ大学生活をしたそうです。日本へ帰国後には、無名の英字紙クリスチャン・サイエンス・モニター誌の新米記者としてジャーナリストの助手として第一歩を歩みますが、ひょんのきっかけでテレビの「今日の出来事」のニュースキャスターとなります。当時、34歳と若くないTVデビューでした。その後、葛藤はあったものの多忙な16年間のキャスター時代を努めました。ニュース原稿をめぐって、辞任覚悟で番組のデスクとの大喧嘩に何度もあったそうです。また、プライベートでは結婚、そして離婚という大波も経験したとのこと。現在は103歳になる母親の介護をしつつ、公演活動、研究所の設立運営等、さまざまな活動を継続されています。本当に「人生を駆け抜け続けている」という印象の著者です。

たまたま昨年、櫻井氏がいわきにいらっしゃり、直接お話を伺う機会がありました。非常に礼儀正しく、丁寧な応対の中にも、温かい気遣いの感じられる方でした。論戦が始まると、しっかりした調査・論拠・証拠に裏打ちされた、筋がぶれない姿勢には、凜とした美しさがありました。

<櫻井よしこさんと勉強会は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/24118531.html
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これまで、反日の中国や韓国の言いがかりに対し、理路整然と強く反論され、正論を貫き通される方だけにちょっと窮屈だなあと感じなくもない櫻井氏でしたが、今回初めて生い立ちや私生活に触れられて、親しみが湧きました。家族の話、介護、生きる素晴らしさ、結婚観等、正直&まっすぐな櫻井氏にかかれば、説得力があります。美しい人生とは何か、とふと考えさせられた本でした。