「高学歴ワーキングプア」を著した水月昭道氏が関わっている、連続モノです。女は女というだけで貧乏になる、のか?というテーマです。高学歴女子というカテゴリの女子の中には、努力家が多いでしょう。しかし、旧帝大の博士号を取得し、教授職を夢見てがんばっても、実際には10年後にワーキングプアになっている現実。己の力とは関係のないところに大きな壁がそびえているかもしれない、という事実を「女子と学歴、そして人生との関わり」という視点での疑問提示する本でした。

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では、女子を貧困に追いやる社会構造のなかで、教育、キャリア、結婚、子育てをどう考えればいいのか? 専業主婦を目指すのがもっとも賢い選択なのか? 当事者が自らの境遇を語り、とりおり客観的なデータを混ぜながらその実態を考えています。娘のキャリアプランを考える親御さんには少し、衝撃が大きいかもしれません。

お茶の水女子大学大学院博士後期課程満期退学し、一橋大学非常勤講師である大理氏による「研究者コミュニティは男性社会」という指摘は、マイノリティたる女性がハラスメントの被害に遭うリスクを大きく持ちながら、孤軍奮闘せざるを得ない構造を指摘しています。
 
大阪大学大学院文学研究科博士後期課程中退のライターである、栗田氏は、「女は女であるというだけで貧乏になるのだ」と率直に語っています。

美術作家を経て、最終的にはアート系の道を断念した大野氏は、芸術系学部での教員の男女比の不均等さや、結婚と制作活動をめぐる独特な実態を述べています。

立命館大学研究員を経て、現・筑紫女学園評議員である水月氏は、日本における女子教育の歴史と実際について述べています。単なるエピソードの羅列ではなく、客観データも織り交ぜられています。
 
確かに一つ一つの問題やデータなどは、掘り下げが甘い部分もありますが、高学歴女子&ワーキングプアである本人達が自ら語る本書は、臨場感あふれるものになっています。それぞれが感じる理不尽さを普遍化していくと「社会制度やシステム」の、共通している問題点が見えてくるのではないか。