いわき市の病院にあるベッド数(許可病床数)は、約3,000床です。福島県の第6次福島県医療計画での現状ベッド数は3,638、一般社団法人日本病院会によれば2,892なので、まずは約3,000床といってよいでしょう。市内で最大のベッド数を持つのは、いわき市立総合磐城共立病院で、ベッド数828(内訳:一般755、結核46、感染症6、精神21)です。次が労災、呉羽、かしまと続きます。
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共立病院の病床べースのシェアは、約29%、2位の労災病院の約2倍です。圧倒的な地域一番店といえるでしょう。いまさら経営学を持ち出すまでもないですが、シェアナンバーワンは、圧倒的に病院経営に有利です。販売競争に勝つための理論と実務として体系化されたランチェスターの法則では、2位に対して√3倍以上のシェアを持つ顧客層を、首位独走のナンバーワン企業と定義しています。この定義でも、共立病院は、ナンバーワンであり、競争戦略上、極めて有利なポジションにあります。

そのような共立病院が、恒常的な赤字経営となっており、過去10年間の医業純損失の累積額は200億円にも及んでいます。そのため、顧客たる患者のためのサービス向上のための投資や、医療スタッフ・ドクターの待遇改善の投資もままならない。さらにこのような状態を嫌ってドクターが定着しないため、さらにドクターにとって過酷な労働条件になるという悪いスパイラルにはまり込んでいます。なぜブランド力、認知度とも地域一番店の病院が、こんな経営状態になってしまっているのか?

<市立磐城総合共立病院 医業純損失 累積200億円は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/33704463.html
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その答えは、経営主体にあります。すなわち、いわき市そのものが経営しているのが原因です。一般的に公機関の経営の舵取りの悪弊はこのようなものだといわれています。
・経営がうまくいかなくなっても、市の一般会計からの赤字補填がなされる
・市の定められた給与テーブルに則って正しく公正に支払われるため、労働対価としての賃金を用いた労働インセンティブが弱い
・市立ブランド(いわき市民は、お上に弱いという意見あり)により、経営努力しなくとも患者がそれなりに集まる
・遊休病床があっても、地域医療を担っているのだから仕方ないというムードが蔓延

現実の共立病院の医療現場のドクターは、過酷な労働条件にあまりにも疲れています。配置人数が少なく、しかも三次救命救急を代表に、仕事量が膨大で、どんどん増えているからです。その一因は、無限に要求を拡大する、私たち患者側にもありますが、また、医療の複雑さ、難しさをほとんど理解していない行政や政治、そしてそれを許してきた私たちにも重大な責任があったといえるでしょう。

医療現場で献身的に働いていらっしゃる医療関係者の方々に深く感謝申し上げると共に、心から熱いエールを送りたいと気持ちの一方、継続して迷走を続ける医療行政と病院経営の失敗に頭がかきむしられる思いです。病院が必要な医療を安定的かつ持続的に提供するためには、経営基盤が健全で持続的な組織であることが必要。正しい経営判断をするために、可及的速やかに現経営体制を変えなくてはならない。