ベストセラー『ゼロ』の原点とともいえる、堀江貴文の著書です。刑期を満了し、検閲なしで刑務所生活のすべて、見て感じたことを書いています。著者前書きによると、「いま、ゼロから新しい人生をスタートさせている。1年9ヶ月にわたった刑務所生活は、私にとってまさに人生ゼロ地点。いや、ゼロにリセットされるための、いわば「マイナスの世界」だ。そんな私の逆境サバイバル術が、シャバの皆さんの参考になれば幸いである。」

世間的には強者、金の亡者という、マスコミが作り上げた彼のイメージがありますが、実際に刑務所生活を経験した著者だからこそ語れる、社会・国・制度・刑務所改革への有益な提言や解決策が書かれています。また受刑者の社会復帰に対する視点、すなわち刑務所は現実として社会更生に本当に役立っているのか?(いや、いない)という視点に考えさせられました。

<ゼロは、コチラ> 
http://www.mikito.biz/archives/33930327.html
 
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 上場企業の社長から、2006年に証券取引法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕。2013年に仮釈放されるまで、1年9か月を長野刑務所にて服役しました。刑務所内から、有料メルマガ等で、堀の外にいる誰よりも、頭を回転させていたのが良くわかります。過去、刑務所にいながら、実況中継さながらに情報発信し、事業化させた人は空前絶後、存在しません。刑務所という閉塞空間に置かれても、自分のみで考え、ここまで形に出できる。束縛のない自由な空間にいる人ならどこまでできるか?、といわれているようで、背中を押されました。

刑務所内の名珍場面を通じて、極めて明るい雰囲気で刑務所の内情がわかります。表面的には、「刑務所ってこんなとこ」「刑務官ってこんな態度」の暴露本のようにも見えます。また「刑務所グルメ」や「エロ本差し入れ」など奇をてらった内容も散見されます。しかし、著者が見聞した、服役者たちが屈託なく語る、犯した犯罪の動機と性向には、絶句してしまいました。まったく反省や後悔がない。こんなことが絵空事でなく、数年後には出所した彼らが隣人として共に生きていくという恐ろしい現実を再認識させられました。
 
それにしても情報が、所内での新聞等、極めて限定されているにもかかわらず、世間一般に報道されている政治経済等に事象に対して、極めて明快に論説できるのには脱帽。塀の中で愚痴も悲観もそこにはなく、ひたすら前にだけ向こうという意志の強さを感じました。この本のカバーイラストには、太っていた以前の体から、脱皮したような姿をイメージさせているのだと思いますが、まさに一皮むけた著者を感じました。