最近、新川の堤防をジョギングしています。ゆっくり走っていると、河川内で今まで見過ごしていた、いろいろなものが見えてきます。河川と堤防について、ちょっと考えてみました。

堤防によって洪水氾濫から守られている住居や農地のある側を堤内地(ていないち)、堤防に挟まれて水が流れている側を堤外地(ていがいち)と呼びます。通常時に、水が流れているところが低水路(ていすいろ)と呼ばれ、河川敷といわれるところが高水敷(こうすいじき)と呼ばれます。新川では、堤防の上もしくは、高水敷部分に、舗装がなされ、歩行者用及びサイクリングロードとして、利用されています。ただ、サイクリングロードと呼ぶには、ちょっと難があります(これについては、別途調査したい)。

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河川にたくさん設置されているものに、「水門」があります。場所によっては数十メートルおきに設置されています。正式には、樋門(ひもん)といいます。その主たる役割は、堤内地の雨水や水田の水などが川や水路を流れ、より大きな川に合流する場合に、合流する川の水位が洪水などで高くなった時に、その水が堤内地側に逆流しないようにするためです。堤防を分断してゲートを設置する場合、その施設を水門と呼びます。水門を堰と混同される場合がありますが、水門はゲートを閉めた時に堤防の役割を果たします。

堤防の管理者は福島県、いわき市においては、合同庁舎内にあるいわき建設事務所が担当になります。ただ、大雨が降り、実際に水門の開け閉めをする必要があるときは、各地域に連絡し、地域にやってもらっているそうです。 
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逆にいえば、大雨で水が逆流する可能性がなければ、水門は開けっ放しになるわけです。水門によっては、川の漂流物が堆積してしまっているところもありますが、これはこれで仕方のないことなのかもしれません。2級河川は、県が管理することになっていますが、その流域だけで数十キロにも及ぶため、すべて県が日常清掃まで行うことは現実的でもありません。

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橋桁には、「通報水位」「警戒水位」「避難判断水位」「計画高水位」等の表示があるところもあります。これは市民が、それぞれの判断の目安とするためのものだそうです。県は、高水位時に市民に対して避難誘導する役割はなく、水位情報を市に通報するだけです。避難計画やその誘導は、市の役割です。

いわき市が、避難準備勧告・避難指示を発令したのは過去5年間に、たった4回のみ。
平成21年度:発令なし
平成22年度:発令なし
平成23年度:平字七軒地区(3世帯)、小川地区(176世帯)
平成24年度:錦町須賀地区(13世帯)、四倉町市下仁井田地区(10世帯)
平成25年度:発令なし

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新川・夏井川には、その堤防と河川敷を利用して、内郷-平-夏井-海に至る、舗装されたサイクリングロードがあります。いや、「あること」になっています。きちんと整備されていれば、自転車愛好者だけでなく、一般市民の遊歩道にもなり、子供が安心して遊べ、市民の健康増進にも役立つという、非常に魅力的なものです。しかしながら、舗装が破損や隆起・陥没している箇所があったり、橋脚により、階段を利用しなければ、もしくは自動車道を横切らなければならない箇所があり、自転車にとって危険で、とても「残念な施設」になってしまっています。

いずれも路面の適切な舗装管理や、斜面路の整備により、自転車・歩行者にとって間違いなく魅力的な施設に変貌できます。これは河川管理者である県が行うべきものではなく(県の役割は、治水なので)、市民サービスの一環ですから、いわき市がやるべきものです。街の魅力を上げるためにも、ぜひとりくんでいきたいと思います。

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県は治水が担当ですが、景観に配慮し、河川敷の美観に取り組んでいる箇所もあります。下の写真は、県の予算で河川敷をベンチ状にしたものですが、こうした取組みはごく一部です。
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昨今はコンクリートで固められた水路への反省から、水が流れているところが低水路部分に、木の杭を打ち、水辺を演出しているところもあります。そのようなところへは水鳥がいたりします。

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河川敷に花が植えられていました。これは、河川愛護団体が行っているもので、いわき市では60余りの団体が自主的な美観活動を行っているそうです。本来であれば、河川敷に勝手に草木を植えてはなりませんが、管理者である県に届けた上で、こうした美化活動をしているそうです。杓子定規に、県の管理だから、美化も含めて何でも県にやらせるということでなく(実際、不可能ですが)、地域住民ができる範囲で、美化活動をしていくということは、積極的に褒められるということが、コモンセンス化していくといいなと思っています。

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