均衡財政と公会計セミナーが、東京会計士協会中央会主催で、銀座ブロッサムで開催されました。公会計には、まず何のためにやるのかのポリシーが必要です。公会計というと、しばしば財務諸表をどのようなやり方で作るか、とか、複式簿記に移行するにはこのようなハードルがある等の、テクニカルが議論になりがちです。しかし、その前に、公会計で「誰のために」「何を達成したいか」という視点が抜け落ちていると思っていました。

ヒントは、納税者(主権者)が自分たちの権利を取り戻す、ということです。講師は公会計研究所所長 高千穂商科大学の吉田寛公認会計士です。

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司馬遷の史記に会計という言葉が出てくるそうです。「会計」とは、会ってその功績を計る(はかる)という意味で、会計の結果、功績のある人には金一封を出すという論功行賞の目的で当初は始まりました。 その後、西洋の考え方が入り、自分の投資する財産を、この人に任せてよかったのかどうかが分かること、すなわち説明責任として使われました。
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企業会計と違い、営利を目的としない役所が会計をすることの意味は、かなり重いです。すなわち、会計を通してでなければ、徴税された税金がどのように使われているか、きちんと費用対効果が検証できないということです(地方税法第2条には、最小のコストで最大の効果を出すべきと、明言しています)。現在の会計報告は、全体のどんぶり勘定で、部門別や、取組み別の成果とそれにかけたコストの報告がなされる仕組みになっていません。公会計の考えの根本は、民主主義の税制はどうあるべきかということでもあると、再認識しました。
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主権者の税の運営を委ねられた代表者が、主権者の期待に応たえたのか否かを伝える会計情報が望ましいです。もしこのような会計情報があれば、税の運用を委ねるにふさわしい良い代表者を主権者が選別し選任するための情報提供となりうるでしょう。
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