東京大学医科学研究所で行われた、「現場からの医療改革推進協議会シンポジウム」に初参加しました。8回目の開催だそうですが、発表内容のテーマとその内容の濃さに興奮しました。
・駅ナカクリニックを展開している、久住英二医師
・高額医療費制度を研究している、児玉有子氏
・国立がんセンターの経営を立て直した、土屋了介医師
・ハーバード大からわざわざこの発表ために帰国した渋谷健司医師
・震災後の南相馬市で初期研修中の、篠田将医師
・中国での鳥インフルエンザのヒトへの感染を研究している、王偉柄医師
・毎週、福島に出張し、福島の放射線情報を発信し続けている、坪倉正治医師
・福島のWBCの運用及びその結果解析を行っているスイスCEAN研究所の早野龍五物理学博士
・南相馬市立病院で、仮設住宅居住者の身体活動量を調査している山本喜文氏 等
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いわきに何度も来て下さっている東大医科研の上昌広教授や、震災後に南相馬へ毎週通って下さっている坪倉医師、浜通りで初期研修を始めた篠田医師らが次々登壇します。非常にセンシティブな論点を取り上げ、それを理性的な分析して発表するセッションが続き、すごく興奮しました。こんな機会をいただいたことに感謝です。
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坪倉医師からは、どうして震災後に南相馬市に行くことなったか等の経緯から、南相馬での活動状況、地元民の直接の声をお話し頂きました。毎週月ー水は、福島駅まで新幹線で行き、そこから車を運転して、南相馬市立総合病院に通うという生活を、震災後2年にわたって続けて下さっています。血液内科の医師として診療をする一方、放射線についても勉強し、相馬市や南相馬市で放射線説明会を200回以上も開催し、市民の放射線に対する知識の啓蒙に努めているそうです。
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東京大学医科学研究所(通称、医科研)は、伝染病研究所を前身とする、附属の研究病院を持つ研究所です。もっと遡ると、ドイツ留学から帰国した北里柴三郎が福沢諭吉の助けを借りて設立した研究所「大日本私立衛生会附属伝染病研究所」が母体です。今は主に感染症、がんなどの疾患を対象とする東京大学附置の研究所のひとつとなっています。医科研自身は学部や大学院ではありませんが、医科研に所属の教授は、東大教授であることが多く、その担当研究科の大学院生がキャンパスに多数いるわけです。
 
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附属の医科研病院は、相当変わり種の病院です。通常、大学付属病院は大学の「医学部」の附属ですが、こちらは、大学の「研究所」に附属なわけです。医学部附属病院の使命が医学教育にあるとすれば、こちらは、研究所での研究の成果を臨床につなげること、高じて最先端の研究成果をもとに、最先端医療を迅速に開発することが、医科研病院の使命となるです。もちろん、病院ですから、一般の方が「かぜ」で保険診療も受けられます(ただ、門構えからして相当敷居が高そうですが・・・)。

セミナー終了後の懇親会の席では、土屋了介先生と病院経営について、いろいろお知恵を拝借しました。土屋了介は、国立がん研究センターの独立行政法人化に尽力された方で、医療経営を熟知されている方です。放漫経営であった旧国立がん研究センターの組織を見直し、外部の力を借りつつ、統治体制の確立、現場からのヒアリングを重ねた経営分析、問題点の指摘、経営改革タスクフォースの立ちあげ、職員全体への問題共有、改革の進捗状況の共有、本当の意味の中期経営計画の策定をされた方です。市立磐城総合共立病院の建て替え、経営問題について有用なアドバイスを頂戴しました。自治体病院の経営実態をよくご存じの方だけに、アドバイスはかなりクリアでした。一般会計からの繰入れに頼る経営は、どうしても甘くなりがち(それはがん研も同じ体質であった)、また「自治体医療だから」「地域医療だから」のフレーズが、経営の思考を停止させることを憂慮されておられました。

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福島県は東大入学者が少ないことで有名ですが、その稀少な学生も参加してくれていました。
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