筑駒と書いてつくこま、と読みます(ちくこま、ではありません)。正式には、筑波大学附属駒場中学校・高等学校。日本で一番、中学入学試験の偏差値が高い学校です。文化祭に行く機会があったので、いろいろ見て来ました。

進学校としては、東京大学への高い合格率が突出していることで有名です(例年、卒業生の半数程度が東京大学に進学!というお化けのような学校です)。毎年発表される東大合格者ランキングの不動の一位は開成高校ですが、これは開成高校の一学年の人数が400名と大人数であるから。筑駒の一学年の人数が160名ということを考えれば、こちらが影の一位ではないでしょうか。

筑駒は、井の頭線駒場東大前駅から徒歩10分にある、中高一貫制男子校です。1学年の生徒数は中学120名高校160名、進学校であることは間違いないのですが、他の国立び中高一貫校と違って、かなり異色な特徴があります。

・公立なのに、なぜか男子校
・筑波大学の附属校なのに、なぜか同大学への特別な内部進学枠がまったくない
・旧制東京農業教育専門学校の附属中学校が前身なので、進学校なのに、なぜか田んぼや畑を持っている
・制服がないので、全員私服

<文化祭 展示物>
中学1年生の展示を見ましたが、展示内容のレベルが濃いです。個人的に良かったのが、日本の昔物語の科学的な検証です。ひとことでいえば、「空想科学読本」の日本の昔物語バージョンなのですが、中学1年生で、浦島太郎の年齢を相対性理論の計算(もどき)で証明しようとしていることや、竜宮城の位置をカメの泳げる距離から推測していること等、オリジナル、かつ自由な思考に驚きました。

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展示物を熟読しないと、解答できないクイズスタンプラリーも同時に実施しています。とても大人の常識だけでは解けないので、真剣に展示物を読み込む必要がありますが、その内容が知的好奇心をかき立てられるものだけに、飽きません。

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ヘリウムガスを吸い込むと声質が変わることが一般的に知られていますが、それは空気の密度・質量が異なるからです。その仕組みを笛を使って証明する実験をやっていました。単にお遊びでなく、原子記号を踏まえた上でやるところに、ひねりがきいています。

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<科学部>
開成の文化祭でも実験実演はありましたが、色変化や小道具等の点で、見学者の参加度合いはこちらの方が上かもしれません。

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見学者と一緒に実験する。つくこま生と一緒に実験した記憶は、見学した小学生の記憶に深く刻まれることでしょう。文化祭というよりも、小学生に科学に興味を持ってもらうための公開講座のようでした。小学生にとっては、エライ方や行政がやるよりも、中学生から教わった方が何倍も効果があることは間違いありません。

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自作「ビラ配りロボット」に実演してもらいました。ビラ(紙)を認識して、それをアームが1枚だけつかみ、移動して、手渡す。そして手渡したと認識したら、再度その動作を繰り返すというものです。とても中高生の自作物とは思えません。
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その他にも自作の2足歩行ロボットもありました。本当に、中高生のレベルを超えています。生徒自身もさることながら、彼らの自由な発想とやりたいことを実現させる環境を、学校側が懐深くに用意していることに舌を巻きます。

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<生物部>
学校が保有している田んぼ「ケルネル水田」(創設時代に在籍したケルネル先生の名前が由来)での調査研究活動が展示されていました。年に数回、地方へ出かけて植物の植生や、動植物の生息状況等を泊まりがけで調査に行っています。

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かなり本格的な研究を、個人それぞれがテーマを持ってやっています。取り立てて素晴らしい設備があるわけでもないのですが、テーマ設定が良いです。教える環境が自由なのを、ダイレクトに感じます。

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<囲碁部>
つくこまの囲碁部は、全国大会でも何度も賞をとっているほどの実力です。活動している部員がハンデ戦で対局してくれます。私は、つくこま中学生から9目ものハンデをもらったにもかかわらず、完敗しました。

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<日本の国防の研究>
国防というテーマは、個人の考え方の相違等が明確に現れるので、展示物にするにはハードルが高いです。それにもかかわらず、複数の参加団体がテーマに選んでおり、校風の自由度の高さを感じました。安倍内閣の目指す、集団的自衛権についても考察されていました。

第2次世界大戦中に、軍部の独走を止められなかった原因を「統帥権の干犯」「帷幄上奏権」「軍部大臣現役武官制」の3つだとし、それぞれの背景を説明しています。私も知らないことがあり、これだけ分りやすい説明は、目にウロコでした。これを中学1年生が作っているとは、にわかには信じられません。

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飛行機の飛ぶ原理を、自ら風洞実験の施設をつくって実験。教科書で習っていて、頭でわかっていても、それを自分達で実験してみようという行動力に脱帽です。中学1年生が、実験設備を実際に動かしてくれて、羽が揚力を得る仕組みを説明してくれました。

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写真はオスプレイの安全性(危険性)についての研究です。かなりマニアックとも言えますが、噂ベースの2次情報に流されず、自ら1次情報に直接あたって、まとめたとことに意味があると思います。

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<美人コンテスト>
おきまりの美人コンテストをやっていました。ミス筑駒のレベルは、ちょっと異常! なお、筑駒は男子校です。念のため。

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注:上記写真2枚は以下のリンクからの転載です
http://blog.livedoor.jp/hue465/archives/33771299.html

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<教材について>
つくこまの授業では教科書を一切使わず、教師オリジナルのプリントを使用するそうです。そのオリジナルの教材がコチラ。見た目は何の変哲もない、プリント教材です。それぞれの教師の思いがこもったプリントが、生徒それぞれの気づきを引き起こすのではないかと推察します。

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主要教科だけでなく、すべての教科の授業がオリジナルプリントで進められるそうです。それで東大進学率ナンバーワンが実現できているのなら、何のための文科省の教科書検定、高校学習指導要領なのか???という疑問が湧きます。それも文科省管轄の国立大学法人筑波大学の附属施設が、自らそれを実践し、証明しているのです。これは現在の教科書検定・高校学習指導要領が、必ずしも完璧なシステムでないことの証左でしょう。

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<アニメオタクの一面>
男子校の高校生がアニオタになるのは、よく見られることです。文化祭でも大々的にアニメグッズ披露会&頒布会が行われており、自由闊達な校風のいろいろな面を見ることができました。それに加えてそのイベントに校外の女子も、けっこうな割合で参加していました。同じ進学校でも、質実剛健の開成とはかなり雰囲気が違います。

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アニメグッズの頒布会は、その場の全員参加型でとても盛り上がっていました。

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<つくこまオリジナルの企画>
つくこま生が、マリオに扮してじゃんけんを行います。連続して16回勝つと、DSがもらえる仕組みです。その確率がどの程度かは、計算すれば一発ですね。

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ただのUFOキャッチャーか・・・と思えば、何と完全自作のUFOキャッチャーでした!アーム制御を市販モーターで行い、コントローラーも秋葉原のパーツショップから買ってきたものです。これはスゴイ!こんな巨大ものを高校生が自作できる、自由な環境が羨ましいです。

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エアホッケーも自作です。何でも作ってみよう!という姿勢は感動的ですら、あります。

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<ポスター>
掲示されていたポスターは、どれも秀逸なものばかり。プロのデザイナー、真っ青の出来だと思います。

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<つくこまの文化祭 畑見学ツアーは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/45898974.html 
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